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“破滅”と“再生”の美学(真弓の雑記・はてな出張所)

だいたいいつも、アニメばかり観ています

『ヤマノススメ』の勧め ~富士山に登ってわかってきた『ヤマノススメ セカンドシーズン』の魅力~

現在放送中のTVアニメ『ヤマノススメ セカンドシーズン』、非常に楽しんで視聴しています。第一シーズンから時間も拡大され(5分アニメ→15分アニメに変更)、より一層味わい深いアニメになっていると感じました。

つい先日富士山へ登りに出かけてきたのですが、偶々それと同時期に、『ヤマノススメ』劇中であおい達四人が富士登山に挑戦するストーリーが展開されていました。「ああ、この時はこうだよなー」「山頂付近は苦しいけど楽しかったなー」などという共感も含みながら観られているので、幸福感がとても高いです。
満たされすぎちゃって、ありがてぇ、ありがてぇ、なんてテレビの前で呟いたりなんかもしてます。傍から見たらその光景は中々に気持ち悪いかもしれませんね。


富士登山といえば、皆様はどんなイメージをお持ちでしょうか。
標高3000メートル超の無骨な山肌を、酸素も薄くなっていく中で黙々と何時間も登るというその行程は、人によっては何ら魅力を感じられないかもしれません。高地特有の高山病に襲われ、頭痛に耐え切れなくなってリタイアする人もいます。長時間の歩行で疲労困憊し、挙句は転倒・スリップで怪我をしているような人もいて、その様子を横目にすると「そういえば、何でこんなことをしてるんだろう」と我に帰ったりします。

かくいう私自身も登山経験はほとんど無くて、去年と今年の夏に富士山へ登って、それ以外はごくたまにちょっとしたハイキングをたしなむ程度です。だから"登山の極意""山の怖さや偉大さ"みたいなものは全然わかっていないし、まだまだその境地に達することのできない初心者でしかありません。
それでも、年一回の本格登山となると心が躍るし、装備品の準備やトレーニングについ没頭してしまいます。そして実際に挑戦してみれば、そこでしか味わえない達成感と雄大な景色に夢中になります。

そんなビギナーの自分が何故"山を登る"という行為に心惹かれるのか。
興味の源泉は心の中のどういうところから湧いてくるのか。
ヤマノススメ セカンドシーズン』を観て、ちょっとその片鱗に触れたような気がしました。



第三話~第四話であおい達は山梨県にある「三つ峠」へ挑戦していました。
都心から2時間 三ツ峠登山ガイド | 河口湖天上山公園 カチカチ山ロープウェイ | 富士山・河口湖観光 絶景スポット
中腹や山頂からは富士山を含んだ絶景が伺える魅力的な山で、ひなたはその景色をあおいに見せたいが為に、かえでやここなも誘い連れ立って登りに行きました。
経験の浅いあおいは険しい斜面や崖道に苦しめられますが、三人のサポートもあって、なんとか登頂に成功します。
そうして下山していく時、あおいは苦しみながらも踏み越えてきた道を降りながら、独白します。

「楽しいひとときが終わる。はじまりがあれば、おわりがある。登ったら、降りなきゃいけない。それはちょっと寂しいことだけど、でも……もっとこんな気持ちになってみたいな」
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「ここ、来るときこわかった道……。一度通ったからかな、もうなんともない。あんなにこわかったのになんでだろう?なんかうれしいな」
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この一連の独白(モノローグ)は印象に残りました。"山を登る"ことの楽しさを、あおいなりのシンプルな表現で、わかり易く表してくれている台詞ではないでしょうか。

あおいにとってみれば「三つ峠」は今までで最も厳しい道の続く山であり、登りの途中ではついつい弱音を吐いてしまいました。「なんか楽しくないな……」という実感は身体の疲れ、痛みからくるもので、激しい運動に慣れていないあおいにとってみればなかなか耐え難いもの。こんなに苦しくて辛いならやめて早くおうちでのんきに過ごしたいという発想は、「三つ峠」を楽勝だと甘くみてしまったあおいにとってみれば、必然に出てくるものだったかもしれません。

そういえば私自身も、今回の富士山では悪天候に苦しめられました。道中では日没後に風と雨が横殴りに吹いてきて(「雨が降る」ではなく「雨が向かってくる」という感覚)、それは明らかに登山者の体力と気力を根こそぎ奪っていくものに見え、恐怖を感じました。太陽のない夜間では視界も遮られ、数歩先の様子すらよくわからなくなる。標高3300メートル付近、本八合目の山小屋から出発することも出来ず足止めを食らってしまい、頭痛も酷くなる中、その時は「もう早く下山して楽になりたい」という弱気が襲ってきました。

状況はそれぞれ違いますが、あおいが道中味わったあの苦痛は、自分にとってもよく理解できるものでした。
そして、この苦しさを越えていくこと、この苦しさを経なければ味わえない達成感と景色こそが、登山の大きな醍醐味であると考えられます。
前述のあおいの台詞はそれを示す一例になっていると思いました。

そんな尊い経験のきっかけをあおいに与えてくれたのが、あの時教室であおいに声をかけて登山に誘ってくれたひなたであり、一緒に歩いてくれる仲間となったかえでやここなでもある。「三つ峠」であおいは彼女たちの暖かいアドバイスを参考にすることで、諦めることなく登頂できました。
ひとりではできないけど、仲間とならできるかもしれない。あおいにとって三人はそんな勇気を与えてくれる存在なのでしょうね。OPアニメーションで繰り返し描かれる、四人が並んで歩く様子。いちばん初心者のあおいが先頭に立って歩き、その後ろからひなた、ここな、かえでがついてくるという順序は、「あおいの背中はわたしたちがしっかり見守ってるよ、だから一緒に歩いていこうね」という優しいメッセージを含んでいるのかもしれません。

些細であるかもしれない成長や変化を丁寧に描き、また仲間がいることの心強さとありがたさをもしっかり示す。
ヤマノススメ』は多くの魅力にあふれたアニメーションであると、また再認識することができました。
そういう意味でも、富士山に登った甲斐があったものだな、と感得している次第です。
誘いに乗って同行してくれた、N君、M君、どうもありがとう。読んでないだろうけど、この場を借りて礼を申し上げます。


追記:「あれ、富士山の話題から始まってるのに、三つ峠のエピソードしか出てこないぞ?」と気づいた方はご明察。実はまだ『セカンドシーズン』の富士山エピソードまで観てないんです。本当は富士山行く前に放送回に追いつきたかったんですけどね……(苦笑)これからゆっくり『セカンドシーズン』を観て、振り返りつつ追体験したいと思います。『ヤマノススメ』ファンの皆様、最終回までエンジョイしていきましょうね。