“破滅”と“再生”の美学(真弓の雑記・はてな出張所)

だいたいいつも、アニメばかり観ています

話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選

あけましておめでとうございます。、@knkmayumiこと、筋肉真弓です。
2014年に既になってしまったので遅刻ですが、以下の企画に参加させていただます。
2013年も、アニメが面白すぎて困っちゃいました。


「話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選」参加サイト一覧
http://shinmai.seesaa.net/article/382284448.html

<ルール>
・2013年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・放送日時順。順位は付けない。

ネタバレについては殆ど配慮ありませんのでご了承の上お読みください。

★リンク→当該話数の公式サイトあらすじ
☆リンク→当該作品のweb配信ページ
■短評


琴浦さん』 #1「琴浦さんと真鍋くん」
脚本:あおしまたかし 絵コンテ:太田雅彦 演出:荒井省吾 作画監督:橋口隼人、池田広明
あらすじ★http://www.kotourasan.com/story/index.html#01
配信☆http://ch.nicovideo.jp/kotourasan

■TVアニメの第一話の入り方について改めて考えさせられる導入でした。放送前情報や公式サイト、そこで見た絵柄から想定できる作品のムード、そういう仮定を真裏にひっくり返してくれるAパートの暗さ(ストーリーも暗ければ画面もだんだん暗くなっていく!わかりやすい!)から、頭の中に宇宙人の住んでるような不思議な真鍋クンとの出逢い。運命の人との出逢いには様々な比喩が用いられるけど、琴浦さんにとってあの一瞬は、本当に自分を覆っていたガラスの膜が割れるような衝撃があったのでしょう。母親役・井上喜久子さんの存在感も光る、いいエピソードでした。


『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』 #10「夏合宿の会議で修羅場」
脚本:裕時悠示 絵コンテ:渡辺了 演出:下田正美 作画監督:山野雅明、小澤円、徳田夢之介
あらすじ★http://www.oreshura.net/story/10.html
配信☆http://ch.nicovideo.jp/oreshura

■俺修羅の女の子たちは、みんな"好き"の気持ちに素直で、けど奥ゆかしくて、その気持ちを言いたくても言えないような場面に見せるいじらしさが可愛いんですよね。
この第十話では、

「やきもちわわ……」

の場面に代表されるように、一歩進んではまた退がる駆け引きを繰り返しながら、ふと、もどかしさを喚起させるようなショットや台詞が入る。盛り上がったところに全然関係ない光景がちょっと入るような緩急もいい。Bパートのショッピング場面はサービスショットを交えた奪い合いでやきもきさせてくれる。そして最後には、進展を予感させる「本当にキミが好きなのは、どの娘だい?」の一言がグサッと刺さる。つい何度も観てしまう、甘いお菓子のような魅力のエピソードでした。
俺修羅から単一エピソードを選ぶというのは非常に悩ましい作業でした。春咲千和(CV:赤崎千夏)の幼馴染み力が披露される#3、冬海愛衣(CV:茅野愛衣)が愛衣ちゃんだいしょうりー!する#9、夏川真涼(CV:田村ゆかり)の停滞と復活が描かれる#12、#13もオススメ。二期は秋篠姫香(CV:金元寿子)のメイン回に期待ですね。


『革命機ヴァルヴレイヴ』 第10話「恋の選挙公約」
脚本:大河内一楼 絵コンテ:松尾衡 演出:神保昌登 作画監督:山岸正和、長田伸二、池田佳代、吉田雄一
あらすじ★http://www.valvrave.com/story/#ep10
配信☆http://ch.nicovideo.jp/valvrave (他、バンダイチャンネル http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=3626 などで配信)

■人間と神憑き、どうしようもなく別れてしまった二つの道が残酷なまでに映しだされる回。咲森学園の生徒達に見つめられる中で、理想と願望のこもった選挙公約を謳いあげるショーコの姿は、彼女らしく素直でそれでいて高潔。一方、マギウスの力の発作に苦しめられたハルトは、隣に居たサキを襲い性的暴行に至る。それでも、ハルトと同じ力を身体に内包しているサキは抵抗しない。唯の思いやりや優しさによる無抵抗ではなく、恐ろしき能力と血の運命を受け容れる覚悟があったからこそ、ハルトに向けてラストカットのような顔ができる。これは決して、視聴者の好奇心を焚きつけるためだけの場面ではないでしょう。美しさと厳しさの入り交じった"レイプ"シーン。ここを起点に1クール目クライマックスに向けて高揚していく、非常にいいエピソードでした。


『あいうら』 第12話「また明日」
脚本・絵コンテ・演出:中村亮介 作画監督:細居美恵子
あらすじ★http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/aiura/episodes/index.html
配信☆http://ch.nicovideo.jp/aiura/

「すっごく面白くないこと思いついた」
「明日でいいです」
「言わせてよ~」
「ふふっ、じゃあまた明日ね」
「うん、じゃ」
「ばいばい」

■一秒も無駄なものがない、大事に仕舞っておいたものがキラキラ輝いてるタイムカプセルのような三分間でした。街にあるもの、通りすぎる人々、いつもの帰り道、美味しい食べ物、遠くの海も夕日も星空も、感じ方一つでまるで違って見える、だから今日と明日とかけがえない友達を大切にしようじゃないか。そんな決心をできるように背中を押してくれる、シンプルかつ真摯なエピソードでした。
当作品を含め、「2013年は、ショートアニメ隆盛の年だった!」といっても過言ではないかもしれません。来年はどんな新しいショートアニメが生まれるのでしょうか。楽しみでなりません。


『君のいる町』 第3話「突然、バタンチュー」
脚本:吉田玲子 絵コンテ・演出:木村延景 作画監督:竹田欣弘
あらすじ★http://www.kiminoirumachi.com/story/03.html
配信☆http://ch.nicovideo.jp/kiminoirumachi

■思春期の恋は不安定で、前触れがなくて、本心と行動が一致しなくて、傷つけ合いとすれ違いばかりに彩られている。タンポポの綿毛、あるいは掴み手のない風船のようにふわふらと空に上がっては、どこにたどり着くのかわからない。Bパート最後にて打ち上げられた色とりどりの風船の群れ、その前景には、枝葉柚希から桐島青大に

「私のことは忘れて下さい。もう会いに来ないで。お願い」

と告げられる局面がある。まるで何かを祝福しているかのように空へと飛んで行く風船たちに遅れて、たったひとつの赤い風船が寂しく浮かぶ。この上なく切ないエピソードでした。


ガッチャマンクラウズ』 #12「Collage」
脚本:大野敏哉 (他スタッフは多数のため別途ご確認ください)
あらすじ★http://www.ntv.co.jp/GATCHAMAN_Crowds/story/12.html
配信☆http://vod.ntv.co.jp/program/GATCHAMAN_Crowds/http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=3706&mvc=2_0_203133_1

「いけるかな?X」
「ルイ。何故そんなことを訊くんですか?わたしにはわかります。累が今、誰よりもワクワクしていることが」
「X。キミと出会えて、ホントに、ホントに良かったよ」

■このエピソードが示してくれた累の選択と新しいGALAXの利用法は、365日の生活とソーシャルネットの存在を切り離せなくなってきている我々に対して、多くの示唆を与えてくれるものでした。『ガッチャマンクラウズ』については、視聴された多くの方が有益な意見を表明されています。話数単位と言わず、全話視聴されることをお勧めします。他に自分から言えることは、

「我々の目の前にあるツールの使い方に正解はない、だからみんなで試して少しづつ善いものに改良していこう」
「いいおっぱいENDだった」

この二つだけです。

上記のツイート引用にもある通り(適切な例かはわかりません!)、2013年はwebとアニメの融合がまた一歩進む年でした。今後もこの傾向は続いていくと思いますが、新しい表現に期待したいところですね。


『帰宅部活動記録』 #12「記録の三十七「よみちがい」~記録の五十七「大事なお知らせ」」(※中略しました)
脚本:雑破業 絵コンテ:佐藤光、高田耕一 演出:佐藤光、守田芸生 作画監督:古賀誠、北原章雄、青木昭仁
あらすじ★http://www.ntv.co.jp/kitakubu/story/story12.html
配信☆http://vod.ntv.co.jp/program/kitakubu/

■安藤夏希(CV:木戸衣吹)のツッコミが癖になってたまらなくなってきた頃に終わってしまった、1クールなのがまこと惜しまれる『帰宅部活動記録』。前週までの流れから一変し、第11話では桜と牡丹の転校直後の馴れ初めが静かに丁寧に描かれ、賑やかだったシリーズに花を一輪添えました。そして〆の第12話ではまた一転、本編終了後のデザート的お楽しみだったちび劇場から開始し、何度目かわからないドラクエネタ、夢オチ、トイレの大中小話、ダダスベリ漫才、出オチの新キャラ、突然の海外旅行からのシューベルト『魔王』押し、尺埋め的な絵描き歌、そして番組終了前の無理矢理感。このエピソードはかんぜんに深夜低予算バラエティ番組でした。くだらなかったです。本当にありがとうございました。


犬とハサミは使いよう』 第拾弐話「犬とハサミは使いよう
脚本:待田堂子 絵コンテ・演出:高橋幸雄 作画監督:佐藤陽子
あらすじ★http://inuhasa.jp/story/2013/09/007352.html
配信☆http://ch.nicovideo.jp/inuhasa (他、GyaO!ストア http://streaming.yahoo.co.jp/c/y/00615/v09634/v1000000000000000923/ などで配信)

■ヒロイン(CV:井上麻里奈)が最終回でゲロを吐いて終わるアニメは名作。


『WHITE ALBUM2』 #7「最高の、最後の日」
脚本:丸戸史明 絵コンテ・演出:沼田誠也 作画監督:岩本里奈、吉田巧介(総作画監督:沼田誠也
あらすじ★http://whitealbum2.jp/story/index.html
配信☆http://ch.nicovideo.jp/whitealbum2

■「最高の、最後の日」まずこのタイトルがねぇ~、もうズルいっていうんですかねぇ~。この後に三人に何が起こるのか、知ってれば知ってるほど雪菜く、いやいや切なくなってくるんですよねぇ~。ステージで雪菜が気持ちよさそうに歌ってるでしょ~?で、かずさに目で訴えてくるのよ、

「冬馬さん、あなたの本当の気持ちはどこ?本当に好きな人は……誰?」

って。いやいや普通、小木曽ァ!演奏中に何言ってんだよオマエってなるじゃないですか~、でもかずさは答えるんですよね、

「そんなの、人に話すことじゃないだろ」

って。全く何なんだこいつらはーっと思ってたら、二人して見つめるんですね~春希クンのコト。肝心の春希クンはソロプレイ(あっ、ギターですよ、エレキギターのね)に夢中になってるし、もう観てるこっちはどっちらけ~ってなっちゃってね。まぁ三人仲良くしろよな~なんて心のなかでオネガイッ!してたら、これまたBパートがトンデモナイ修羅場でね~、雪菜なんて感極まっちゃって、

「避けても、いいんだよ…?」

だって。も~我慢の限界。。。小木曽ァ!冬馬ァ!春希ァ!このバカチンども!!!
(※観ながら書いてたら情緒的にしか書けなかったので詳しくは本編にてご確認ください)


ワルキューレロマンツェ』 第十話「激闘―Close Fights」
脚本:ふでやすかずゆき 絵コンテ・演出:喜多幡徹 作画監督:近藤源一郎、鳥山冬美、佐藤真里那、福島豊明
あらすじ★http://walroma.com/story/
配信☆http://ch.nicovideo.jp/walroma

■騎士になる/ジョストを戦うという行為について、ウィンフォード学園の生徒達一人ひとりのかける想いは、十人十色であり、年に一度の大会ともなればその想いが時に強くぶつかり合う。フィオナ・ベックフォードは友人であるリサ・エオストレの変わっていく様に納得がいかず、ツンケンしてしまうが、その二人の仲を繋ぎ直すのもまたジョストだった。「もっと強くなるために、本当の友達になってくれる?」と手を差し伸べるリサに、「ずっとひとりで寂しかった」と涙を流しながら応えるフィオナ。この心暖まる挿話から、馬の出産を介助するため奔走する貴弘の場面に移り、そして準決勝へと進む大会は更なる激戦を予感させる……。緊張と緩和の按配が心地いいエピソードでした。
ワルキューレロマンツェ』は、シチュエーションコントとして完成度の高い第七話(これも非常にお勧め!)を中途に挟みながらも、複数のキャラクターのドラマを絡ませて巧みに進行していく、サービス精神とバランス感覚に優れたアニメでした。



□当記事をまとめている時点(2014年初頭)で既に沢山の方がエントリをupされていました。当イベントについては年内に提出するのが通例のようですからそれも当たり前。自分もそうできれば良かったですね。反省して今年度は視聴を遅らせないように心がけたいです。気になっているけど視聴完了していない『惡の華』『有頂天家族』『革命機ヴァルヴレイヴ 2nd SEASON』(それと『たまこまーけっと』第9話「歌っちゃうんだ、恋の歌」)は、宿題として優先的に観ていきたいですね。


以上、2013年TVアニメ10選でした。
今年も一緒に新作を楽しんでいければ、幸いです。


※2014.01.05追記-集計が終了していたようですので以下のリンクを追加しました。話数単位10選は、ある種エピソード人気投票的な側面もある企画ですので、この結果からまた何かを分析出来るかもしれませんね。参考にどうぞ。

「話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選」投票集計
http://shinmai.seesaa.net/article/384061488.html

「「話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選」投票集計」をアニメごとにまとめてみた
http://ailuros.hatenablog.com/entry/2014/01/02/191258

【ネタバレ含】『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』視聴後感想(を、忘れないうちにできるだけ支離滅裂なまま書き留めよう)[要推敲]

先日劇場公開した『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』、観賞して参りました。この映画については、(わだかまりは残りつつも)快作だろうと肯定的に支持いたします。

■今年は声優さんがアニメキャラクターに女子力をいかにして吹き込んでいくかの過程への関心が例年以上に強かったが、今回の『叛逆の物語』版暁美ほむらを含め、CV:斎藤千和キャラには特に強い関心を寄せている。暁美ほむら(CV:斎藤千和)の溢れ出る女子力が観客を包み込んだ結果、映画への言及の多くをほむらちゃんの堕落についてのコメントが占めることになった。「ほむほむマジ悪魔」「クレイジーサイコレズ」「ホムラチャンの愛が重すぎた……」などのコメントが複数確認できた(調査対象はTwitter)。本当に恐ろしいほどの女子力よね。

■コンテンツを継続させていかなくてはならない状況で続編に取り掛かっていく中で、少しづつ視聴者の望むものからズレていったという意味では『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に近いと感じた。ファン全員が手放しで肯定できる劇場版にはなっていない。"オワコン化"を防ぐためにラストを賛否両論のまま置いておき視聴者の妄想・二次創作意欲を煽るという手法は、もちろんアリなんだけど、弊害も予測できるし、制作側にとってもギャンブル性の高い"次の一手"だったのでは。



■ツイートでは「一粒で三度」としたが「一粒で四度」と考えてもよいのではないか。
例えば『叛逆の物語』をパートで大雑把に分けて短観もつけてみる。


①:キュウべえに囚われたほむらの魔女結界が創りあげた架空の見滝原で、レギュラーの五人が協力して魔獣退治に挑むパート。TV版では実現しなかった勢揃いでの変身、戦闘、そして日常生活などが明るく描かれる。このようなシチュエーションを夢見ていた人にはたまらないと思う。自分も凄く楽しかったし、シャフト版プリキュアという趣もあった。以降は本来のまどマギ色が濃くなってくるので、『叛逆の物語』を爽やかに味わうならこのパートだけ視聴してDVDを停止するという視聴スタイルが奨められる。まぁ、ちょっと長い『学園エヴァ』でもあるかなぁ。


②:違和感に不審を募らせたほむらが調査を開始し、杏子との探索、マミとの戦闘、さやかとの対峙を経て、ベベの人間態出現やキュウべえとの接触、そして今いる世界は魔女化する寸前のほむらが見ている夢だと気づくまでのパート。杏子と二人バスで彷徨うシークエンスは某アニメ映画のオマージュ満載だと指摘したい(後述)。マミとの戦闘は中盤の見せ場で、作画カロリーが非常に高くキレがよかった。人間態ベベの印象あんまない……。


③(②と併合でもよい?):さやあん!さやあん!さやあん!恋人つなぎだ!……あっ、失礼、興奮しまみた。魔女化したほむらを救うために立ち上がるまどか・マミ・さやか・杏子・ベベチームの活躍と、ほむらが救済される寸前までのパート。通常の映画ならクライマックスに置かれてもおかしくない熱い展開だけど、この後があまりに衝撃的だし、個人的にも意外と記憶の抜け落ちがあるパート。ぐぬぬ……[要加筆]


④:ほむらの堕落と彼女による世界再編後までを描くラストのパート。ほむらについて詳しくは後述。決定的に彼女のパーソナルなドラマになってしまっているという印象は強く、彼女について以外は、パッと言及できない(申し訳ございません)。みんな闇の中に飲まれてしまったので 富野厨なので、「特定のキャラクターに寄り過ぎてシリーズを終わらせるというものになっていない終わり」という意味では、『機動戦士Vガンダム』のカテジナエンドだなぁと思ってしまい、よくない。


アルティメットまどかを取り込んでしまったほむらは、彼女に向けている想いをはっきり""だと言い切る。肥大化し過ぎた愛はほむら自身と世界を作り変え、自ら「さしずめ悪魔というところかしら(※要確認)」とまで言わしめるアルティメットほむら(デビほむ)への"変身"を遂げる。これはしかし「まどかを救うための時間遡行」を繰り返したことによりここまで愛が大きくなった、因果の集積は救う対象であるまどかだけでなく、救おうとした行為者であるほむらにも起こっていたのだと想像すると、この"変身"にも一応の納得ができる。受け容れることにかなりの抵抗はあるが、これも彼女なりの成長なのかもしれない。いづれにせよヤンデレアニメヒロイン史に残る活躍を見せてくれた。自分は女性観が狂っているので、デビほむに対しては、「おっ!なんかほむほむ魅力的になったね!」と劇場内で声かけしてしまった。悪堕ちほむほむ、一定層の需要を開拓するキャラクターに仕上がったのではないか。だが、最後の受け止める相手がいないひとりルミナス(→からの転落)は、哀愁があった。

■酷な言い方をすると同性愛にはある種の生産性がない(通常の性交渉ではこどもが作れなくて遺伝子、代、血筋が残せない)から、作品を終わらせるギミックとして"同性愛エンド"は機能しにくいものと認識されるものだ(マジョリティにとって受け容れ難さがある?)と仮定する。例えば渚カヲル君は碇シンジ君とは何度世界を繰り返しても結ばれず死ななければならない宿命にある(テレビシリーズでもQでも、ダメだったよ……)。まどかを籠絡したデビほむも彼の宿命に倣っても不思議ではない?その視点からすると、ほむらの性的指向に対しての批判が働くような続編は、今後制作されたとしてもある程度納得できる。


<<以下雑記>>

■前半の五人変身シーンは劇伴が高梨康治さん楽曲みたいだった。梶浦由記さんも女性コーラスは多用するが、この時は控えられてたので、もしや似すぎないよう意識したのかな?と推測。一人ずつテーマの違う変身動作のは東映的でもある(シルエット演出はセラムンからの系譜と感じられる)。変身中ダンスのテーマは、マミさん:フィギュア、杏子:フラメンコ、さやか:ヒップホップ系、まどか:パラパラ?アイドル系?、ほむら:バレエ、と考えられるけどもう一度確認したい。

■『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』に酷似していたのは、ほむらと杏子がさまよう一連のシークエンス。まずほむらが杏子を見滝原の外へ出てみようと誘う会話のシーン。密室に二人きりで、テーブルをはさみ日常の不審点について議論するというシチュエーションは、うる星BDでいうところのサクラ先生と温泉マークの会話シーン。ハレーションで窓から外の景色が見えないカットのオマージュがあった気がする(要確認)。こじつけるなら、上空の不審な飛行船群も押井作品のモチーフ(劇場版パト2スカイ・クロラ?など)として使用されているもの。その後、バスに乗り脱出を試みるも街の外に出られない二人。これも学園祭前日の友引町から出られないうる星レギュラーキャラ達の様子とも重なった。

■キュウべえが喋れるくせに中盤までかわいい動物を演じていて呆れ果てたが、CV:加藤英美里なので許した。

■「違和感を感じなかったの!?」という台詞が複数回。中学生らしい語彙ではある。わざと残した?

■「マミさん(CV:水橋かおり)は独身のアラサーOLで、彼氏は全然できないけど、ペットに愛情を注ぎ、おいしい紅茶やケーキを探求し、後輩をたびたび家に誘いお茶会で日々楽しく暮らしているのだ。」……それ以上やめたげてよぉ!!と自分をセーブしなければならない。でもそう見えちゃうものは仕方がない。きっとマミさんはまどか達後輩を部屋に招いて『マジカル頭脳パワー!!』放映当時の録画VHSを繰り返し見せたに違いない。だから序盤のナイトメア退治の時マジカルバナナを全員が覚えていたんだ……そうに違いない……(そういえばほむらとのガン=カタ中にνガンダムのバズーカ撃ちを真似ているシーンがあったかもしれない)

■TVシリーズとは違い制服姿で活躍する佐倉杏子さん。見滝原の制服というとスカートなので、それを穿いたままアクションするにあたり避けて通れないアレの問題があったが、結局アレは確認できず、個人的にはアレのアレには充足感の不足があったと告白せねばなりませんね……

■出たァ~!杏子さんの出崎投げだ!!パンフ買い忘れて監督インタビュー読めてないけど、また「杏子は出崎キャラ」言及があったそうな。

まど神レイプ!魔獣と化したほむら先輩

■『コゼットの肖像』に繋がる部分は幾つか。例えばEDアニメーション担当の鈴木博文さんは、『コゼット』でメインキャラクターデザインを務めていた。また『コゼット』に登場するマルチェロ・オルランドというキャラは、愛が高じすぎてコゼットをナイフで刺殺してしまう画家でいわゆるヤンデレだった。新房監督の中の引き出しから出てきた要素が込められていたかもしれない(虚淵色だけでなく新房色も抽出しないと不足するかもしれない)。なので今後の研究課題として頭に留めておこう。

最後に。一部では「サイコレズ」呼ばわりされている暁美ほむらですが、本当にそれほど理解し難いキャラクターでしょうか。その人を救いたいがため何度でも何度でも何度でも時間を繰り返し苦難に耐えること、そして悪魔になってしまうほどその人を愛するということ、そんなことができてしまう彼女は、ある意味羨ましいと思えませんか?

葬られる者と涙する者。おやすみなさい、チェインバー。~『翠星のガルガンティア』視聴後感想~

 『翠星のガルガンティア』、最終回まで観させていただきました。最終回の後に未視聴だった第8話(船団長が埋葬される回)を観るというヘンな順序を辿ってしまったけれど、逆に正解だったのかも。地球の海へと埋葬されることでチェインバーは星の一部となる(仲間として同化する)、そんな構図が確認できました。

 第8話「離別」では、ガルガンティア船団長・フェアロックが亡くなり惜しまれながら海へと葬られていく過程が描かれていました。また、第12話「決断のとき」でクーゲル船団の罪なき人々が殉教者として海へ投げ落とされる場面もありました。そして第13話(最終回)、ストライカーとの激しい戦闘の末爆散したチェインバー、その破片は海へと飛び散りました。

 これらは同じ"海へと還る"行為であっても同じではないものでした。上に挙げた一連の描写は『翠星のガルガンティア』が求めていた一つのテーマ「生き方と死に方」の相違を示すものであるとも考えられます。また、人間の生き死にをめぐるドラマを繰り返し描いてきたロボットアニメとしても重要な示唆を含んでいる、と読みました。人工知能である"チェインバー"の死を惜しみつつ、生の肉体を持った人間"レド"がガルガンティアの仲間と共に過ごす新しい生に期待させてくれるような、爽やかなラストを描いた最終回でありました。

 それにしても、レドの熱い涙を観ていると、ガルガンティア(Gargantia)というタイトルは「ガルガン/ティアー(tear、涙)」だったんじゃないかとも読めてしまいます。

 「俺は……死に方はわかっても、生き方はわからない。そんな俺のために、生き方を一緒に探してくれる人がいた。もう一度、逢いたかった。もっと、声を聞きたかった」
 涙を流しながら、エイミーへの溢れる想いを語るレドを、チェインバーは「心理適性が兵士の条件を満たしていない」と判断して、コクピットブロックを分離させレドを逃します(これは優しさから?ロボットなのに優しいとはこれいかに)。
 「この空と海の全てが、貴方に可能性をもたらすだろう。生存せよ。探求せよ。その生命に、最大の成果を期待する」
 レドのこれからの人生を祝福するかのような言葉を残し、チェインバーはストライカーへの止めを刺しに行きます。グラビティーウェーバー(腹部主砲)でストライカーを破壊する直前の、
 「くたばれ、ブリキ野郎」
 という台詞はとても印象的であります(常に論理的、分析的な言葉遣いであったチェインバーの最期の台詞!)。
 (まるで新たに産み落とされていくかのように)海へと落下したレドは、ストライカーを撃破して散っていくチェインバーを見届け、またしても涙を流します。以上のように、最終盤のレドは泣いてばかりでした。ガルガンティアの人々と交流したことで、レドは泣きたい時に泣けるような熱い感情を得ることができました。
 ここでOPテーマ「この世界は僕らを待っていた」の歌詞を参照すると「求める力 僕の中にあるのを 教えてくれたのは 君の微笑み」とあります。この「求める力」とは生きることを強く求めるような熱い欲求の事を示しているのではないでしょうか。人類銀河同盟での、マシーンのように戦闘に明け暮れる日々には感じられなかったものを、ガルガンティアでの生活で得ることができたレドは、幸せ者だと思います。

 本編ラスト、海底に沈み朽ちていくチェインバー(ヒディアーズに囲まれているのが泣かせてくれます)から海面越しに太陽の浮かぶ空へのPANで終わる〆は、OPラストカットとの同一性が強いショットでもあり、終劇にふさわしい美しさでした。
 「戦闘の役目を終え朽ちていくロボット」のビジュアルでいえば太陽の牙ダグラムの砂漠にて擱座するダグラムや、無敵超人ザンボット3の海辺で涙を流す(流しているように見える)ザンボエース等の系譜にも連なります。戦闘兵器として造り出された彼らが、戦いから開放されたキャラクター達を静かに見守る時、彼らは一体何を考えているのか。兵器だから、マシーンだから、機能停止して唯の物と化したのだから、何かを考えていると感じるはこちらの錯覚でしかないのかもしれません。それでも、辛く厳しい戦いをパイロットと共にくぐり抜けてきた彼らは、その時確かに生きていた。そう信じても構わないはずです。
 チェインバーはレドのように涙を流すことはできませんが、最後の最後でレドを戦いから突き放したチェインバーには、もしかしたら人間が涙を流す理由がわかっていたのかもしれません。それは"優しさ"や"心意気"と呼んでいいものなのかもしれない。

 「ガルガン/ティアー(tear、涙)」という視点、勝手に思っているだけですが、そういう感想もありなのかな、とこれまた勝手に納得してしまいました。

 おやすみなさい、チェインバー。
 以上お読み下さり、ありがとうございました。今後も良きロボットアニメをお互いに楽しみたいものですね。

アニメ『フォトカノ』演出メモ ―第九話「恋の果たし状」(絵コンテ・演出:伊藤達文)― 

第九話Aパート、ののかが一也を屋上に呼び出し、告白するシークエンス。

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ののか「果たし状よ!」
(果たし状を差し出すののか)

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一也「は……果たし状だと?!」
ののか「勝負だ!だっつん!」
(ののかの背後から多数の矢が飛んでくる)
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一也「う、うわ!とっと…ハァ?!」
(矢が一也を襲う)

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ののか「恋の果たし状だよ!いざ、尋常にしょうぶしょうぶ!」
一也「い……意味がわからん!」
(軍配を振りかざし一也に向けるののか)

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(波のSE)
(波打際の軍配)
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ののか「だっつんの理想の女の子って……やっぱり、はるるみたいな女の子?」
(兜を脱ぎながら尋ねるののか)
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一也「え?なんだよ、いきなり」
(答える一也、まだ鎧を着ている)
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ののか「いきなりじゃないよ。わたしは、中学の時から、だっつんのこと見てきたんだぞ。だから……わかるんだ」
(カット変わりでようやく制服に戻る、鎧は何処に?)
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少なくとも2カットは鎧装束を着ている画が長い。
この引っ張り方。

  • 以下同様のシーン

(ショートパンツをめくり肌を見せてお叱りを受けるののか、実際に水浸しになり魚がピチピチ跳ねている)
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(大盛りランチを食おうとしてお叱りを受けるののか、実際に電撃を受け焦げている)
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  • 以下他の話数

(第七話、バーガーを食おうとして口が巨大化して開く一也)
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(第十話、パフェの海に飛び込みクリームまみれになる舞衣)
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(第十話、一也の腕をフライドチキンに錯覚する舞衣)
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ここまではやらないよね?というラインに踏み込む思い切りの良さが、アニメ『フォトカノ』の魅力。
ここまでやっていいんだ。とても勉強になる。

【簡易更新】2013年春期は、ロボットアニメが熱い。 ~『革命機ヴァルヴレイヴ』『翠星のガルガンティア』『銀河機甲隊マジェスティックプリンス』放送開始後の雑感~

2013年も早いもので4月となり、また新しいアニメが大量に放送開始されました。
年度変わりの忙しい時期ではありますが、皆様は今期何を観てるんでしょうか?気になるところです。

さて、今春は新作のオリジナルロボットアニメが次々開始され、周辺でよく話題になっています。招集されたスタッフや広告戦略などの諸要素から、「気合の入った感じ」のする作品が複数あるようです。この状況は、幼少期からロボットアニメに慣れ親しんだ自分にとってとても嬉しいもの。

今期は、
『銀河機甲隊マジェスティックプリンス』(『MJP』)
『翠星のガルガンティア』(『ガルガン』)
『革命機ヴァルヴレイヴ』(『ヴァルブレ』)
を観始めました。
(「それだけ?!ダンボール戦機WARS』『トレインヒーロー』『ロボカーポリー』『爆獣合神ジグルハゼル』『鉄人28号ガオ!』も観てこそのロボアニオタだろ!」…という声がどこからか聞こえてきます。精進が足りずスミマセン…)

これら三作品は、Twitterにコメントを入れながらの“実況スタイル”で観賞していましたが、反響も大きかったように思います。Twitter以外のネットコミュニティ、あるいはアニメ愛好家界隈の新作談義においても、様々な感想、分析、議論が拡散されていること、想像に難くありません。

これまで目にした中で、個人的に注目している話題が二つあります。

①主人公がロボットに乗り込むまでのドラマがどう描かれていたか
 『ガルガン』『MJP』は、主人公が物語開始前から軍属であるので、(少なくとも序盤の段階で)気にする要素ではありませんでした。しかし、『ヴァルブレ』の場合は、第一話でハルト君がヴァルヴレイヴに乗り込み初戦闘をこなすまでの一連の流れについて、様々な見解を目にしました。

「どこかで見たような展開(お約束の段取り、パターンっぽい)」
「(想い人ショーコの消失を目にしたことと、ヴァルヴレイヴに乗って戦うことの)動機の結びつきが弱い」
「いきなり人殺しするし、ハルトは酷いヤツ」
「なんかガンダムっぽい(ギアスっぽい、etc…)」

思い出せるのはこの程度ですが、どれも興味深い意見です。何故かというと、これらの意見ひとつひとつから、視聴者各人が「ロボットアニメの導入部」について多種多様なイメージを持っていることが類推できるからです。
ロボットアニメを視聴してきた数の多い人ほど、この導入部の重要さに気づいている、だから一話でそこをどう描くかに敏感になっている、という傾向があるのかもしれません。
ロボットアニメに伝統芸能と呼べるほどの歴史の長さは無いかもしれませんが、大事なところの「型」「お約束」構造の是非について言及されている様は、なんだか、各種伝統芸能への言及に近いようものを感じ、不思議なものです。
「宇宙の人工惑星に住む何の変哲もない男子高校生が、ある日突然襲ってきた敵と戦うためロボットに乗り込む」…と単純化すると『機動戦士ガンダム』と『ヴァルヴレ』は共通しますが、似ているからこそ違いが際立ってくるものでもあります。ヒロイン、主人公が立て続けに“死ぬ”という導入は非常にショッキングで、この先にロボットアニメらしい更なる飛躍を期待させるものでした。


②ロボットに乗る少年が周りの人間にどう“見られているか”の問題と、作中に登場したニコニコ動画Twitter・LINEなどを想起させる画面上のコメント

  • 『MJP』第二話ラストの、ニコニコ動画(…的な動画配信サイト)で自分達の戦闘記録映像に流れるコメントを眺め、思うところアリな感じのイズル君
  • 『ガルガン』第一話ラストの、銃を持った群衆に囲まれ、チェインバーから彼らが“地球人”であることを教えられ、思うところアリな感じのレド君
  • 『ヴァルヴレ』第一話Bパートラストの、“英雄”ハルトを称賛する声がワイヤードを通じ氾濫している中で、思うところアリというか泣いちゃう感じのハルト君

これらの場面に何らか共通するものを感じました。
ちょっと、今は上手く言語化できませんが、これらのシーン、ロボットに乗り戦う子どもらが大衆からどのような目線を向けられているか、三作品それぞれの方向性を示唆しているシーンであるかのように観えました。


ここ最近は、女の子の日常生活を描く平和なアニメを観まくってたせいか、筆の進みが悪いような気がしました。どんどん人が死ぬような殺伐としたアニメを観まくって、リハビリに努めたいと思う所存です。
やはりロボットアニメは面白いです。

「俺の彼女と幼なじみと元カノと婚約者が可愛すぎる」!!! ~アニメ『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』概観~

先日東京MXでの最終回を迎えた、TVアニメ『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』(以下『俺修羅』)、Twitterにて実況しながら楽しませてもらいました。
今回は放送終了したということで、自らの視点を簡単にまとめる為のブログ更新です。
自分は本当に長文を書くのが苦手でなかなかエントリを上げることが出来無いでいるのですが、出来無いなりに考えた結果、自らの実況・感想ツイートを補足する形ならどうだろうと思い、当エントリはその実験も兼ねます。
去年の暮れにはもっと頻繁に更新することを目標に掲げたはずなのですが……お恥ずかしい限り。

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修羅場とは - はてなキーワード
阿修羅と帝釈天とが戦う場所。転じて、凄惨なる戦いの場所をさす。転じて、男女の痴情のもつれなど親しい者同士がお互いに感情を剥き出しにして罵り合うさまを表す。

「修羅場」の語義を調べてみますと、上記のような結果が出ました。
お互いに感情を剥き出しにして罵り合う、という状況は、恋愛ドラマ等における盛り上げの定番かと思います。昼ドラ的なシチュエーション、とも言い換えられるかもしれません。
このキーワードから、自分としては放送時は随分と話題になった昼ドラ『真珠夫人』『牡丹と薔薇』や、最近物議を醸した『幸せの時間』などを思い起こします。また、未だに人気の根強いアニメ『true tears』『とらドラ!』等の岡田麿里脚本作品においても、感情剥き出しで女の子が罵り合う、"キャットファイト"と形容されるようなシーンが想起されるような方々は、沢山いらっしゃるのではないかと思います。

しかし、このような場面がアニメ『俺修羅』にあったでしょうか?
例えば、第3話後半における春咲千和が泣き出してしまったシーンは感情的な振る舞いでしたが、あれは千和にとっての恋のライバル、即ち夏川真涼、秋篠姫香、冬海愛衣に向けたものではなく、主人公季堂鋭太に向けられたもの(家族扱いへの不満)でした。他の場面をみても、怒りを顕にして罵り合うような場面は見つからず、ヒロイン四人の怒りは鋭太に向けられることが殆どといっていい。むしろこの四人は仲が良く、"自らを演出する乙女の会(自演乙)"の同僚として行動を共にし、真涼と千和はツッコミとボケのやり取りを交わし、姫香は愛衣を"恋愛マスター"として崇拝している。このような傾向は、作品のカラー、手触り、鑑賞後の味わいに重大な影響を与えていると考えられます。

端的に言えば、『俺修羅』という作品タイトルは、看板に偽りあり!!とみることができます。修羅場すぎるどころか、全然喧嘩しない

心を抉られるような喧嘩の場面が無ければ、じゃあ何があるのかというと、鋭太に恋心を向けている四人の女の子の<個人、または複数形での>可愛さを感じられるシーンが沢山あるのではないかと感じました。
鋭太と二人での交流の場面、自演乙の五人で遊んだり話したりしている場面、それぞれにまた違った可愛さがあります。二人きりの場面ではいじらしい仕草やセクシーな押し迫りにドキドキさせられ、五人のシーンではちょっとずつズレてるやり取りに微笑ましくなり、本当に常に可愛い。

最終回を実況した際に、上記のような点に触れていたので、いくつか自分のツイートを引用します。

快不快の感じ方は人それぞれであり、またたとえ作中に泥沼の愛憎劇が描かれていたとしても、確かな必然性を持って配置されたシーンであればそれが不快にならないということは、上述の岡田麿里脚本作品などにおいて経験しています。むしろ、自分は泥沼大好きです。しかし、このアニメにおいては、視聴者にむやみに不快感を与えないような演出・構成がなされていたと分析しますし、方向性としてそれで良かったとも思えます。

また、このアニメの可愛いシーンといえば、OPアニメーションですね。ヒロイン四人を担当する声優さんの歌唱する『Girlish Lover』に乗せたアニメーション。
別記事で全カット分析を行いたいぐらい好きなOPです。通算の視聴回数はもはや数えきれないほどです。

『俺修羅』についての感想では、「鋭太に感情移入できない」という意見が散見されました。確かに、ヒロインに対しての態度で煮え切らない部分はあるかと思います。しかし、私見では鋭太のキャラクターパーソナリティは視聴中全く気になりませんでした。この印象は、もしかしたらOPに鋭太が一切姿を表さないことと関係が深いのかもしれません。

各キャラクターの可愛さについてもツイートしていました。

田村ゆかりさんの巧さ、存在感は今作の要点であり、そして最終回に魅せた真涼の甘デレの破壊力は、本当にとてつもないものでした。OPや、EDテーマ『W:Wonder tale』の歌唱も素晴らしく、見事な名演でした。


金元寿子さんは同期アニメ『琴浦さん』でも主演として大活躍していました。姫香はだいぶ不思議な、ふわふわした声質でしたが、作品の色彩設計とも絡んで、なんともいえない魅力がありました。


茅野愛衣さんは、例えば前期アニメ『好きっていいなよ。』における繊細な演技も素晴らしかったですが、愛衣のようなキャラクターにも合うんだな、と改めて実力を知りました。自分と同じ名前のキャラクター、どのように感じながらアフレコを行ったのか、気になってしょうがありません(アレ、絶対恥ずかしいよね…)。


赤崎千夏さん、『キルミーベイベー』などを通じ、日に日に自分の中で存在の重さが増している声優さんです。「えーくん、愛してるぅー!!」の声真似を試みているのですが、全然千和のような可愛さを出すことができません。赤崎さん、凄いです。第10話で鏡の中の自分を見つめながら言った「やきもちわわ……」、あんな可愛い台詞は滅多にない。春咲千和というキャラクターは、自分が『俺修羅』の視聴を継続するきっかけになり、そして全話注目せずにはいられなかったキャラクターです。




この記事の結びとして、『俺修羅』という素晴らしいアニメの制作に関わっていた亀井幹太監督他、全てのスタッフ様・出演者様・原作者様に、感謝と敬意の言葉を述べたいと思います。
本当にお疲れ様でした。楽しませてもらいました。またこのようなアニメが観たいです。最終回の纏まりが非常に綺麗だったので「おしまい」でも心残りはありませんが、だとしても『俺修羅』二期、期待しています。


「彼女」と「幼なじみ」と「元カノ」と「婚約者」が可愛すぎて、ホントーに参っちゃう三ヶ月間でした。

話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選

どぅも、@knkmayumiこと、筋肉真弓です。
普段はアニメについて主にTwitterでつらつらと呟いています。
当ブログは未だに二つしか記事がなく、今後はもっと更新していきたいなぁ、などと思っている所存です。

さて、アニメ好きにとっての年末の風物詩…かどうかはあまり存じませんが、せっかくなので以下の企画に参加させていただきます。

「話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選」参加サイト一覧
http://shinmai.seesaa.net/article/305577126.html

【ルール】
・2011年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につきなるべく上限1話。
・思いつき順。順位は付けない。

初参加ゆえ勝手が判らず、おかしな点などなければよいですが。
とりあえず、ネタバレについては殆ど配慮ありませんのでご了承の上お読みください。
ではスタート。



ゆるゆり♪♪』 第11話「時をかけるあかり」
脚本:太田雅彦 絵コンテ:太田雅彦 演出:荒井省吾 作画監督:尾尻進矢、橋口隼人、池田広明、谷口元浩
http://www.yuruyuri.com/story/episode_11.php

★百合アニメであり日常系でありバラエティ番組でもある、ゆるゆりの到達点?!笑って泣ける、実質の二期最終回!

笑って泣ける、という構造に非常に弱いので……順位はつけませんが、10選ときいてまっさきに思いついたのが、この11話でした。

もともと、自分は殺伐としたアニメがわりと好きで、俗にいわれる「ゆる〜い日常系アニメ」はそれほど観ていなかったのですが、『ゆるゆり』は非常に楽しみました。
どういうところが面白いのかな、と探ってみたのですが、ポイントは『ゆるゆり』がちょっとTVのバラエティ番組みたいな構造をしているところなのかもしれません。
ゆるゆり』は、濃くキャラ付けされた女の子たちが舞台で演じているコントを観ているような、ざっくり言うとそんな感覚がします。
また、千歳の鼻血だったり、あかりやちなつの髪がするおかしな動きだったり、スラップスティック的な要素もあるのかなぁと思います。
古い話をすると、かつて自分が好きだった『ギャラクシーエンジェル』というアニメにも近い印象も。
女の子同士のゆる〜い百合を主に扱ってるけど、毎週毎週が勝負のTVショー的な側面もまたあるのではないか。
OPや最終回を観ているとそういう要素は意図して含まれているのだな、と思えてしまいます。

さて11話では、ごらく部部室の押し入れから突如現れたタイムマシンであかりが過去に戻ります。
過去を変えれば、自分に背負わされた“存在感薄い”キャラクターを解消できるのではないかと思い、あかりは過去の自分たちに干渉しようとします。
しかし、「過去を変えれば前の思い出も消えるかもしれない」という姉の忠告を聞き、あかりは悩み、結局何もしないことにしました。
“存在感薄い”キャラというのは、原作やアニメ第一期を通じて、制作者やファンの間でじょじょに積み上げられていったものです。
それはあかり本人にとっては辛く感じる時もあるだろうけど、しかし紛れもなくあかりがこれまで存在してきた証として付いた、キャラです。
過去を否定するのではなく、未来でそのキャラを打破すると決意し、現在に帰ってくるあかり。
現在で待っていたのは、山のように人探しの張り紙を用意している、このアニメのメインキャラクターたちでした。
あかりを見つけて泣き出す京子。ここの瞬間の作画は本当に目を見張りました 周りの子もみんな泣き出しました。
本当は、あかりは“存在感薄い”なんてことなかった。このシーンでみんなに愛されていたことが証明されます。
周囲からラベリングされたキャラは人格そのものではないということ、ちゃんと認められてる赤座あかり本人がみんなの心にいたことがわかり、とても感動しました。
その後、爆発+紙芝居の二段オチが示されますが、これはスタッフの照れ隠しが半面、番組のバラエティー的側面を考慮して感動のまま落とさなかったという判断がまた半面なのかな、と推測します。

アニメ『ゆるゆり』シリーズは、TVアニメらしいTVアニメとしての魅力に溢れた作品だよなぁ、と改めて感じています。


『Another』 第8話「Hair stand -紺碧-」
脚本:檜垣亮 絵コンテ・演出:篠原俊哉 作画監督:伊藤依織子
http://www.another-anime.jp/story/

水島努監督の個性炸裂!最悪のスプラッタギャグ水着回!

TVアニメにおける「××回」という恒例化されたイベントの入るエピソードは数多くの種類がありますが、その中でも有名な「水着回」。
たいていはシリーズ中盤に配置される、夏休みの遊び、あるいは忙しい日常や厳しい戦いの間に息抜きをするため、キャラクターが水泳をします。
当然、水着を披露することになるので肌の露出が多く、眼福といえる光景が広がるものです。
つまりアニメを視聴する側にとっても息抜きとなるはずなのですが……この8話には完全にやられました。
鳴や泉美の水着姿は堪能できた……のはいいですけど、いかんせんムードが不穏すぎます。
アバンの血飛沫を連想させるスイカ割りのショットを代表として、不安を煽るような描写が随所に入れられています。
そしてラストにはクラスメイトが船舶のスクリューに巻き込まれ死亡。「死ぬかな?死ぬかな?あ、やっぱり死んだ」という、ネタフリとオチのリズムが感じられるシーンです。ここの一連の流れに、自分は爆笑しました。
かつて『撲殺天使ドクロちゃん』や『BLOOD-C』を手がけた水島努監督の、笑いとグロテスクの混じりあった感性が、映像に反映されていたと思います。
『Another』は、P.A.WORKSと水島監督の個性がぶつかりあって出来た、奇妙で楽しいアニメでした。



這いよれ! ニャル子さん』 第1話「第三種接近遭遇、的な」
脚本:木村暢 絵コンテ:長澤剛 演出:池田重隆 作画監督:滝山真哲
http://www.nyaruko.com/story/

★世界よ、これが日本のオタク文化だ。阿澄佳奈さんに続いて、あなたもLet's\(・ω・)/にゃー!

我が国が誇るオタク関連文化のハイコンテクスト化については、近年凄まじい勢いがあると思います。
戦国武将を女体化した『戦国コレクション』や『織田信奈の野望』が放映されたばかりですが、このニャル子さんもまた凄い。
1話にて、アニメショップではしゃぎ回る美少女化ニャルラトホテプのビジュアルを目にした時は衝撃を受けました。しかもCV:阿澄佳奈
ニャルラトホテプが、美少女で、阿澄佳奈で、アニメショップです。これは落ち着いて考えると、なかなか大変な組み合わせであると思います。
この作品はライトノベル原作だそうですが、日本に住んでいるのに、まだまだ知らないことが沢山あるのだな……と嘆息したものです。
随所に大量のパロディが投下されるスピード感と、CV:阿澄佳奈キャラに迫られる愉悦が味わえます。
1話は特に阿澄佳奈さんがいっぱい喋るので、そういった意味でも個人的に物凄くごほうびですね。
二期の放映も控えていますし、2013年もニャル子さん、そして阿澄佳奈さんの動向に要注目です。



『さんかれあ』 第7話「おさな…なじみ…(Run Ranko Run)」
脚本:杉原研二 絵コンテ:小坂知 演出:高山秀樹 作画監督:高澤美佳、金 順淵
http://www.tbs.co.jp/anime/sankarea/story/story07.html

★叫ぶ幼馴染み。重なる思い出と交わらない想いは、叫びとなって夕暮れの空に消える。「絶対に、絶対に、負けないんだから!」

幼馴染みシリーズそのいち。
個人的に、このエピソードを放送中に「最近の幼馴染みは負けてばかりでは?」などとTwitterで話した記憶がハッキリ残ってます。
振り返ると、今年はアニメやゲームなどの幼馴染みについて考える機会が多かった気がします。それを考慮しての選定です。
7話では、小さい頃蘭子と千紘が過ごした時間が回想されますが、そこでは、千紘のゾンビマニアとしての性癖(ネクロフィリア?)が強調されます。
ゾンビとして蘇った礼弥に千紘が惹かれていくのが必然であるかのように。
思い出がいくらあっても太刀打ちできない蘭子ですが、それでも諦めず、千紘を想い続ける決意を新たにしました。
蘭子が最後に見せた笑顔には、幼馴染みとしての痛さと強さを読み取ることができました。それはとても美しかったです。
『さんかれあ』は非常に印象深いアニメです。CV:石塚運昇のパパもいいキャラしてる



あの夏で待ってる』 第9話「せんぱい」
脚本:黒田洋介 絵コンテ・演出:櫻井親良 作画監督:山下祐、斉藤美香、石川健介矢向宏志、冨岡寛
http://www.ichika-ichika.com/story_09.html

★涙する幼馴染み。負けだけど負けじゃない、大好きなあのひとを後押しする叫びは青空に包まれる。「好きだって、言えばいい!」

幼馴染みシリーズそのに。
気鋭の演出家として注目を集める長井龍雪監督。実直な画作りと良い意味での青臭さをお持ちだと思います。
長野県小諸市の雄大な景色を舞台に、第三の「おねがい☆シリーズ」として制作されたような趣のある今作。あれから、約10年経ちました。
このアニメにもまた、谷川柑菜という「負ける幼馴染み」が登場しています。近い時期に放映された『さんかれあ』の蘭子と、作品を越えて共通性を見出す……
沢山TVアニメを観ていると、このような予期せぬ発見があり、それはとても面白い現象です。
9話では、海人を(カメラ撮影者のように)遠くから見つめる柑菜の物理的な距離と心理的な距離が示され、重層的に切なさを醸し出します。
そして、イチカに思いっきり叫びを叩きつける。好きなら好きだってハッキリ言えばいい、と。
その行為はラストで、海人とイチカのキスに結実されます。これ以降、二人はいっそうイチャイチャするようになります。
その幸せの影には、柑菜の涙があります。だとしても、精一杯できることをしたのだから、いいんじゃないかと思います。
結ばれるだけが幼馴染みじゃないのだから……



アマガミSS+ plus』 第4話「桜井梨穂子 後編 フウリン」
脚本:待田堂子 絵コンテ:別所誠人 演出:荒井省吾 作画監督:新井伸浩、池田広明
http://www.tbs.co.jp/anime/amagami/story/story04.html

★結ばれる幼馴染み。幸福を授かった桜井梨穂子には、月夜、縁側、風鈴の風情がよく似合う。「これからも、ずっと一緒にいたいなって、思ってる」

幼馴染みシリーズそのさん。
ゲームとしての『アマガミ』は、システムとドラマ性の噛み合った名作であると確信しています。
そのシナリオは一本道でなく、時にはヒロインにとって辛い、痛ましいイベントを目撃することもあります。決して幸せなだけではないのです。
最近の自分としては珍しく「原作既読者」としてアニメ版を視聴しましたが、上述の幼馴染み史観とあわせ、どのように再構成をしてくるか、大変に興味深く観ていました。
ヒロインの一人である梨穂子は、第一期終了時でも純一と恋人同士になっておらず、告白を持ち越しにされていました。視聴者間でもそのシナリオには賛否両論でした
その溜飲を下げるような、第二期の梨穂子編。しばしば純一を見つめる梨穂子の描写が織り交ぜられ、想う時間の長さを感じさせます。
終盤、ついに純一と語り合う告白の場面となりますが、情感のこもった静かなやりとりが観られます。
あたりまえにそばにいる関係から、一歩先へ進んでいく瞬間も、また静かに進んでいく月夜の晩。
梨穂子は、大和撫子といってもいいキャラクターかもしれません。そんなことを思いました。
それにしても、梨穂子から正妻オーラを強く感じるのはなんでなんでしょう。純一・梨穂子・美也が一緒に居ると、まるで三人家族のように見えてしまうのです。凄く、幼馴染み的?




スマイルプリキュア!』 第18話「なおの想い!バトンがつなぐみんなの絆!!」
脚本:山田由香 演出:池田洋子、三塚雅人 作画:フランシス・カネダ、アリエス・ナリオ
http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/episode/summary/18/

★仲間といっしょに。五人で何かをすることが大事。今年のプリキュアはシンプルで力強い!

スマプリからたったの一話を選ぶ作業は、辛いですね。面白い話ばかりなので。
一応なおメイン回ではありますが、選定理由としては緑川なおちゃんが好きだというだけのことではなくて……(いやもちろんそれもありますが)
プリキュア五人で何かをやり遂げること、結果がどうなってもあきらめずやってみることの大切さを端的に表していた、ということで18話を選択です。
今エピソードでは運動会のリレーに挑む五人でしたが、最も俊足だったなおがゴール直前で転倒。その悔しさと申し訳なさから泣きだしてしまいます。
しかし、誰もなおを責めたりなどはしませんでした。号泣しながらなおに抱きつきねぎらう、みゆき、あかね、やよい。ここの絵と演技が素晴らしい!
そしてれいかが言います。「最後まで、バトンを繋ぐことができましたね」
涙を抑えきれないなおは、「わたしも、みんなと走れてよかった……」
ラストカットは、五人とクラスメイトの、爽やかな笑顔でした。
……やはり、今年のプリキュアは「仲間と一緒に過ごすこと」「一緒にいて何をするか/できるか」に重点が置かれてるのかな、という感触がするのです。



夏色キセキ』 第12話「終わらないナツヤスミ」
脚本:浦畑達彦 絵コンテ:水島精二 演出:木村隆一 作画監督:山村直己、本村晃一、小林亮、濱津武広、盛重学、大竹守
http://www.natsuiro-kiseki.jp/story/ep12.html

★離れてたって四人はいつまでもいっしょ。ひと夏の下田で描かれた、友情のキセキはsphereをかたちどる。

不思議なもので、このアニメを観ていて、時々「まるで変身しないプリキュアみたいだ……」という印象が浮かんできていました。
御石様の奇跡という魔法への関わり方を通して成長していく女の子たちを、見守るような目線が自分にあるからでしょうか。
最終話では、終わらない夏を繰り返していた奇跡から決別し、紗季の転校を受け入れ、四人は一歩未来へ進むことが出来ました。
近くにいても、離れていても、いっしょに過ごした思い出がある限り、夏海、紗季、優香、凛子の絆は消えないはず。
構図において四人が常に円、球体、スフィアの形になるよう配置されていて、それを眺めていると、なんだか心が暖まります。
そういえば、2011年のアニメ『THE IDOLM@STER』においても、765プロアイドル達がいっしょにいる意味を問い直す展開がありました。
女の子グループと、友情と、アイドルへの憧れ。今後も色々なアニメで、その見解が語られていくのでしょうか。興味深いものです。



『坂道のアポロン』 第7話「ナウズ・ザ・タイム(Now's the time)」
脚本:加藤綾子 絵コンテ:松尾衡 演出:出合小都美 作画監督:Cindy.Hideko.Yamauchi
http://www.noitamina-apollon.com/02story/index.html

★いきいきと動く絵と音のシンクロ。アニメの醍醐味ってこういうのだよな…と、高揚と達成感に満たされる、まさに神回!

学園でのライブシーンを扱ったアニメは、近年でもハルヒけいおん、AB!など多数見かけられます。
つまり題材としてはありがちなのですが、ありがちだからこそ何度でも新しい表現を模索していく価値があるのだと思います。
演奏のダイナミックな作画と軽快な音楽に、目と耳を預け、ただ眼前のアニメに酔いしれることができる。もう途中からは台詞すら要らなくなる。
この回終盤で薫と千太郎が魅せる即興演奏は、アニメというか、アニメーションの醍醐味に溢れていました。
途中に数カット、一風変わった動作をするモブ生徒の作画が観られます。正直かなり浮いてますがそれもまた良し……w
「身体が軽い……まるで生まれ変わったみたいに……このまま、飛んでいっちゃいそうだ」
ラストでの薫のモノローグ、これは決して大げさではないと感じるのです。
かつて『カウボーイビバップ』を手がけた渡辺信一郎監督らしさが色濃く出た、名エピソードです。


『LUPIN the Third -峰不二子という女-』 第1話「大泥棒VS女怪盗」
脚本:岡田麿里 絵コンテ:山本沙代 演出:高橋亨 作画監督:小池健
http://fujiko.tv/episode/

★新しいのに古臭い。ルパンなのに女臭い。キャスト交代後初の連続テレビシリーズは、新感覚の深夜アニメになった!

第1話の衝撃という点においては今作もかなりのものでした。
多重線によって画面随所に描かれる影、くすんだ色彩、ジャズBGMと世代の入り交じる声優陣による音響演出、乳首の露出など挑戦的なビジュアル……
年一回のTVSPに慣れた視聴者にとって、この初回はかなり度肝を抜かれたのではないでしょうか。
自分は、時たま昭和のセルアニメを観ているような錯覚をもたらされたりしました。
監督・脚本の女性コンビと、小池作画の不思議な化学反応を味わえました。
現在放映中のアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』とともに、長寿シリーズのアニメ化企画が多様性を示す様、注意深く見守らせてもらっています。



□その他、泣く泣く外した作品を後ろめたく列挙
戦姫絶唱シンフォギア』…第1話のインパクトは途轍もなかったが、怠惰ゆえ終盤が未見のため選外
『謎の彼女X』…全話に渡り満遍なくレベルが高いので、決めきれず選外
『TARI TARI』…なぜだか全体を通じての印象が強く、単話としては選外
『となりの怪物くん』&『好きっていいなよ。』…2012年秋のデザート少女漫画アニメコンビとして大変楽しんだけれど、枠が足りず選外
この中に1人、妹がいる!』&『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』…ラノベ発キチガイ妹アニメ(褒め言葉)コンビとして大変楽しんだけれど(ry


選定はかなり迷いましたし、別の観点から10選することもできたでしょうか。
しかし結果的には、制作スタジオや放送局がわりとバラけたので、まぁこれで良いかなぁ。
眺めてみると、恋愛や女の子の友情に焦点を当ててアニメを観ていたことがわかります。
このことには、私事ではありますが、今年ある二人の重要な友人の結婚を見送ったことが関係しているかもしれません。
来年はまた、生活上のイベントによりアニメ観が変わってくるのでしょうか。
興味深いところです。
年末年始には企画参加された他の方々の記事をじっくり読みたいと思います。
皆様はどのようにアニメを観ているのでしょうか。
「私、気になります!」


以上、2012年TVアニメ10選でした。
長すぎるかもしれないこの記事を、ここまで読んでくれて感謝します。


※参考記事;負けヒロインの美学とは - Parad_ism (id:shirooo105) http://d.hatena.ne.jp/shirooo105/20120926/1348655863
※その他、Twitterアニメクラスタの方々のツイートを大いに参考にさせていただきました