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“破滅”と“再生”の美学(真弓の雑記・はてな出張所)

だいたいいつも、アニメばかり観ています

2016年TVアニメカット単位十傑(じゅっけつ) まとめ

「話数単位で選ぶ、○○年TVアニメ10選」は、当年のTVアニメを振り返る企画として一部で定着化しつつあります。
shinmai.seesaa.net

「年末に10タイトル選ぶだけ」というシンプルなルールが気に入っていて、2012年以来上記企画に参加させて頂いてます。
また、バリエーションがあると面白いだろうかという(勝手な)発想から、派生企画として「年末に10カット選ぶだけ」の活動を(勝手に)行っています。
knkmayumi.hatenablog.com

2015年は全部『冴えない彼女の育てかた』からの選出になってしまって、特にまとめ作業も行わなかったので、これはイカンと思い、今年は当ブログに記録しておくことにしました。
今後何かの参考になれば幸いです。


カット単位で選ぶ、2016年TVアニメ10傑


・2016年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき原則1カット。
・順位は付けない。

















クリスマスの夜にブツブツ言いながらケツアングルの動画をずっと眺めていたので、こんな馬鹿なこともそうそうないだろうと思いながら、しかし選定は楽しい作業でした。
2017年のTVアニメ界にも、より新しい表現が出現するのではないかと今から楽しみでなりません。

マイベスト「台詞&演技」エピソード7選

この度以下の企画に参加させていただきました。

unmake.blog133.fc2.com

「マイベストエピソード」選出ルール

・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)
・ 選ぶ話数は5~10個(最低5個、上限10個)
・ 1作品につき1話だけ
・ 順位はつけない
・ 自身のブログで更新OK
・ 画像の有無は問わない
・ 締め切りは8月末まで

上記ページで示されている「作品としてはベストに選ばないけど好きな話数」という今回のコンセプト案を自分なりに解釈しまして、
「作品全体への評価はさておいて、どこか自分の心に引っかかりを残していった台詞や、声の演技、それらが味わえる話数」
を今回選ばせていただきました。キャラクターに命を吹き込む"マイスター"ともいえる声優さんが、どんな声を絵に乗せてくれたか。そこで生まれた相乗効果は、どう感じられるものだったか。これは私が普段アニメを観ている時かなり気にしていることなので、その観点から記憶を探って、当てはまるエピソードを選定しました。心とか耳とかその他色んなところ(?)に刻まれた、エピソード中の台詞をPICK UPして、それを中心にコメントを添えました。いわゆるオールタイム・ベストアニメを選出する場合とはかなり違う結果になったのが面白かったですね。

以下、本文です。



機動武闘伝Gガンダム』(1994年)第44話「シュバルツ散る! ドモン涙の必殺拳」
■PICK UP台詞-シュバルツ・ブルーダー/キョウジ・カッシュ(CV:堀秀行)の、
「お前もキング・オブ・ハートの紋章を持つ男ならッ!!情に流され、目的を見失ってはならんッ!!それとも――こんなキョウジのような悲劇が繰り返されてもいいのか?!やるんだッ!!デビルガンダムの呪いから私達を解き放つためにも!!」

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弟が兄とその人格コピーを直接葬るという壮絶な場面ですが、兄のキョウジ/シュバルツ役、堀秀行さんの絶叫がすごい。実際に長台詞を叫んでみるとわかりますが、頭に血がのぼって血管が切れそうになったり目眩がして危険なだけでなく、声が裏返らないよう喉や腹をせいいっぱい張った状態にせねばならず、聞き苦しくないように発声するのは大変なんですよね。それでも、家族をバラバラに引き裂き過酷な運命へと陥れたデビルガンダムを破壊するまたとないこの時のため、弟ドモンに厳しい言葉で「介錯」を願う、その凛とした叫びに、胸を打たれないわけにはいきませんでした。作画もまた渾身ですが、その力強い絵をさらに一歩越えていくような、滅多にない熱演です。

一瞬なのですが、石破天驚拳を放つゴッドガンダムのカメラアイに透過光が入って、目尻に涙が溜まっているかのように見えるニクい演出を発見したので、その点も含めて再見して良かったと思えるエピソードです。


新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)第弐拾弐話「せめて、人間らしく」
■PICK UP台詞-惣流・アスカ・ラングレー(CV:宮村優子)の、
「汚された……わたしの心が……加持さん……汚されちゃった……どうしよう……汚されちゃったよぉ……」

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映像上のレイプと例えても差し支えないような、強烈なエピソード。瞬間でも、心を重ねると殺される。
声優としての華々しい活躍期間はそれほど長くなくても、宮村優子さんはちょっと特別な存在だなと、今振り返ってみてもそう思います。
でも私にとっては『愛天使伝説ウェディングピーチ』珠野ひなぎく役の人です。
(締切間近につきここだけ簡潔コメントですみません)


『勝負師伝説 哲也』(2000年)第十一局「闇の終わり」
■PICK UP台詞-印南善一(CV:戸谷浩次)の、
「じゃあな哲ちゃん。お互い、達者に打(ぶ)とう」

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毎回、OP前に「勝負の世界でしか、生きられない人々がいる」というナレーション(青野武さん)が入るのが格好いいのですが、言葉をきつく言い換えると、登場するキャラクターはみんな表社会に適合できなくて麻雀で日銭を稼いでいるろくでなし共なんですよね。このエピソードに登場する印南善一なんか酷いもので、対局中以外はヒロポンを入手する為の金を求めて地べたを這いずり回るような暮らし。卓上の牌を全て記憶できる「眼牌(ガンパイ)」という超能力じみた特技を持っていること以外は救いようがない人物……なのに、何だか格好よくみえちゃうから、不思議なんですよね。

日常での情けなさと、対局時の人間離れした凄み、そのギャップを絶妙に熱演してくれたのが、戸谷浩次さんでした。かつて『北斗の拳』ジャギ役でみせてくれたようなアウトローの魅力がここでも全開で、当時麻雀のルールを覚えたてだった自分の心に、その壮絶な生き様を刻みこんでくれたエピソードだったんです。終盤、松崎しげるさんの歌唱する挿入歌が流れながら、雪夜の闇に消えていく印南の姿が入る演出は、ベタなんですけど、最高でしょ。

「麻雀を」「打つ」と書いて「ぶつ」と読む。この読みは彼ら裏社会の雀士のあいだだけで通じる隠語、ジャーゴンであり、また彼らにとって別れてから次に会う時は殆ど卓を囲み対局をする時だけであり、麻雀を通してしかお互い関わりを持つことがない、という暗黙の了解があるわけです。生きている限りは麻雀を続けるのが俺達だから、「お互い、達者に打(ぶ)とう」が合言葉になるんだろうな……と想像すると、徹底した生き方だなぁと思う。

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別のエピソードですが、大塚周夫さんの演じる房州(主人公・哲也の師匠的存在)もまた素晴らしいキャラクターですね。房州との最後の対局を描いた第十八局「別れの天和」と、どちらを選出するか最後まで悩んだことを、余談として付け加えます。


アマガミSS』(2010年)第22話(絢辻詞編 第二章)「ウラガワ」
■PICK UP台詞-絢辻詞(CV:名塚佳織)の、

「さぁ、復唱して?僕は何も見ていません、絢辻さんは裏表のない素敵な人です」

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わりと↑の台詞を書き出したかっただけでもあるんですけどね……(笑)
アニメ版の放送開始前から、絢辻詞が「優等生の絢辻さん」「ドスの利いた声の黒辻さん」「優しい白辻さん」などなど色んな面を見せてくれる複雑なキャラクターだということは、ゲーム版をプレイして予備知識があったわけです。幾つかのルートを通ってエンディングまで辿り着いたりして、何となく人となりはわかった。じゃあ、アニメではどうなるんだろう?と期待して視聴したのですが、どうもこのエピソードの彼女は見覚えがないような……ゲームの時よりおっちょこちょいで、照れ方が素直で、純一(主人公)と関わる時はワクワク声が弾んでいる。「声が違うぞ?」となってからしばらくは↑の台詞を披露した神社でのシーンを何度か味わってみました。それでだんだんと、黒でも白でもない「ちょっぴりちょろいアニ辻さん」像が固まってきて、ああ、アニメでの彼女はこんな感じなんだな……と納得できたわけです。しかし同時にそれは、彼女がまた新しい仮面をひとつ被ってしまったという事も意味するわけで、ますます本当の顔がわからなくなってしまいましたね。

名塚佳織ヒロインと相対する時は、えてして「完成することのないルービック・キューブ」に挑んでいるような手ごわさを憶えてしまうのですが、『true tears』の湯浅比呂美と双璧を成すように、絢辻詞は難敵ですね。だとしても、素敵な人だ、ということは間違いないのだけど。

モヤモヤ考えてるうちに、名塚さんの歌うキャラソン「嘆きの天使」が流れるEDへと続くわけです。絢辻さん、歌はちょっと苦手なのかなって……(失礼)


お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』(2012年)第1話「おにあいお兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ)」
■PICK UP台詞-姫小路秋子(CV:木戸伊吹)の、
「わたしがお風呂に入っているのに、どうしてノゾキに来てくれないんですか?!」

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イブキ・キド=チャンの鮮烈なデビューを飾った第1話。開始6分で↑の台詞に到達するスピード感もさることながら、秋子の矢継ぎ早な妄言にこちらもタジタジ。倫理がねじ曲がったまま突き進むのが『おにあい』の魅力で、それはこのとてつもない妹あってこそというものです。当時14歳、初のレギュラーキャラ、初の主演クラスでこの役を演った意義は、結構あるんじゃないかな……と思っています。出演にあたってのインタビューなど、当時のキド=チャンの心境が伺えるものがあったら改めて読む返してみたいものだな、と気になってしまいました。

特に第一話ということもあって、さ行、ら行が詰まって聴こえたり、絵と声の抑揚が微妙に釣り合ってなかったりがチラホラありますが、だからこそ秋子の不器用さを補強するところもあるのかな……とも感じます(さんざん初夜について妄言を吐きながら、面と向かい「(家族として)大好き」と言われたら赤くなって卒倒してしまうのがかわいい)。そういった、洗練されてないからこそ出せる味ってあると思うんですよ。それは例えば『スケッチブック 〜full color's〜』の頃の花澤香菜さんだったり、『コゼットの肖像』の頃の井上麻里奈さんだったりにも感じたことがあるもの。技術的な巧拙を超えた魅力を、このエピソードでは見出しました。

もし誰か声優さんを好きになったら、デビューしたてのキャリア初期にどう演じていたか、振り返って聴いてみるという楽しみ方もあるよ、と提唱したいと思います。


ガッチャマンクラウズ』(2013年)第9話「Forgery」
■PICK UP台詞-ベルク・カッツェ(CV:宮野真守)の、
「メッ、メメッメッ、メ、メシウマァ~~~~♪♪♪」

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絵からはみ出してしまうほどの芝居を、時々耳にする時があります。例えば「シーンにおいて要求されるような芝居づけができてない、作画の水準が低い」パターンもありますが、それとは逆に「演者の熱が入りすぎて、通常のアニメ絵では表現しきれないほどの声を当てている」というような場合ですね。通常は極力排除するべきの息遣い(ブレス)をあえて強く入れたり、台詞の1センテンスの中で極端に緩急や強弱をつけたりなど、日本のテレビアニメにはそぐわないかもしれない芝居を用いる傾向のある人もいる。あくまでもシロウトの個人的な印象ではありますが、名前を挙げると、女性では朴璐美さん、沢城みゆきさん、小林ゆうさんなどが浮かびますが、男性なら宮野真守さんがまず筆頭に挙がります。

『クラウズ』のベルク・カッツェは、宮野さんのそうした持ち味が強くでたキャラクターだと思います。出自も正体も謎のまま、人々に悪意をばら撒き、それによって起こる災厄を眺めては悦に入る……。現実にいたら絶対近づきたくないけど、アニメの登場人物としては魅力的に映ってしまう罪な存在。そんな設定だけでもおいしいのに、宮野さんの「フリーダムな」声の芝居が、カッツェをより高次元のキャラクターに昇華させてくれました。時に笑い転げ、時に飛んで跳ねて、時に歌い踊る彼を「格好いい」と思ったら負けなんですけど、これだけの存在感じゃあ唸らされてもしょうがないですね。かつて『DEATH NOTE』のアニメ版で、死神と契約し殺人ノートを操る夜神月を演じた宮野さんが、この役……というキャスティングの妙も特筆したいところ。

この第9話では、劇伴に合わせ高らかに歌い上げるカッツェが、クライマックスに向かう物語を大きく盛り上げてくれます。↑の台詞の場面は、音楽担当の岩崎琢さんをも唸らせたワンシーンであり、私も感嘆するばかりでした。気になったら確認していただければと思います(このエピソードだけでもいいし、できれば、第1話から)。

岩崎琢 on Twitter: "サウンドトラックに収録されている「ヒュドラの標的」は勿論カッツェの曲なんだけれど、ここまで見事に一つになるとはね(笑)音楽を流しながらアフレコをしたわけではないのに、最後の「メシウマ〜」はテンポ、キーも曲にぴったり合っていて、ワタクシ非常に驚きましたです、はい。"



俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』(2013年)第3話「幼なじみの涙で修羅場」
■PICK UP台詞-春咲千和(CV:赤﨑千夏)の、

「わたし、えーくんと幼なじみなんかイヤッ!もっと普通で、普通に同級生でよかった!幼なじみなんて、ホントに何一ついいこと無い!」

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失礼ながら、このエピソード放送時点では赤﨑千夏さんについてそれほど存じてなくて、せいぜい『キルミー』やすな役程度しかイメージがなかったんです。だからこの春咲千和というキャラも、第一印象ではちんちくりんだな~くらいしか思わなかったし、アニメ自体も1話2話を観た時点では「OPアニメはかわいいけど、ジョジョパロの入り方もちょっと強引だしこの先面白くなるのかにゃ~」とか高をくくっていたわけです。そこでこの第3話がきて、急にグワッと掴まれましたね。
モノローグかと思わせるような小さな呟き声から一転、堰を切ったように本音がこぼれ出し、聞き分けのできない幼児のように不満をぶつける。「えーくんえーくん♪」と普段は小動物みたいなのに(チワワという渾名がある)、そこからの落差がすごい。差し出しされたハンカチを払いのけ、部屋灯りの陰へと去っていく千和(この場面のキレたカット割り!)。そして追い打ちをかけるような幸福だった頃の回想シーンが入り、時を経て生じた幼なじみ同士のすれ違いを、より克明に描きだすんですよね。切なすぎる。やられちゃいました。
赤﨑さん!幼なじみ、いけるやん!今後の活躍に大いに期待したい声優さんの一人です。

それにしても、「幼なじみ=負け組フラグ」とか最初に言い出したのは誰なのかしら?(←この引用は伊藤計劃リスペクト!『俺修羅』観てたら痛いパロ台詞を言ってみたくなった!)


以上、選出の7作品でした。
こうして「マイベスト」を並べてみると、みているところの傾向だったり癖だったりが洗いざらい浮き彫りにされてしまいますね。そりゃ「マイベスト」だから当たり前なんですけど。
演じた方本人のインタビュー記事やDVDコメンタリーを参照したり、アフレコ技術的な側面に深く踏み込んでみたり、もっと他にやりようはあった気はしますが、現時点ではこんなものですので、将来への課題にしておきたいと思います。

最後に、主催者と参加者の皆様、今回紹介したアニメの制作スタッフの皆様、素晴らしい芝居を披露してくれた声優の方々、そして最後までお読みいただいた貴方に感謝を述べて、締めとさせていただきます。
ありがとうございました。

付録-各話スタッフ表


・『機動武闘伝Gガンダム』(1994年)第44話「シュバルツ散る! ドモン涙の必殺拳」
脚本:山口亮太 絵コンテ:須永司 演出:谷口悟朗 作画監督西村誠芳
監督:今川泰宏 アニメーション制作:サンライズ


・『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)第弐拾弐話「せめて、人間らしく」
脚本:山口宏・庵野秀明 絵コンテ:鶴巻和哉 演出:高村彰 作画監督:花畑まう
監督:庵野秀明 アニメーション制作:GAINAX


・『勝負師伝説 哲也』(2000年)第十一局「闇の終わり」
脚本:菅良幸 演出(・絵コンテ):中村哲治 作画監督:増田信博
監督:西沢信孝 アニメーション制作:東映アニメーション


・『アマガミSS』(2010年)第22話(絢辻詞編 第二章)「ウラガワ」
脚本:木村暢 絵コンテ:村木一真 演出:奥野耕太 作画監督:許宰銑、三嶽理絵 総作画監督:立川聖治、合田浩章
監督:平池芳正 アニメーション制作:AIC


・『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』(2012年)第1話「おにあいお兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ)」
脚本:ふでやすかずゆき 絵コンテ・演出:川口敬一郎 作画監督:山吉幸一、平田和也、松下郁子
監督:川口敬一郎 アニメーション制作:SILVER LINK.


・『ガッチャマンクラウズ』(2013年)第9話「Forgery」
脚本:大野敏哉 絵コンテ:和田高明、伊藤秀樹 演出:黒田晃一郎 作画監督:西谷泰史、谷口繁則、ムラオミノル、今木宏明、奥田佳子、川妻智美、和田高明 総作画監督高橋裕一
監督:中村健治 アニメーション制作:タツノコプロ


・『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』(2013年)第3話「幼なじみの涙で修羅場」
脚本:浦畑達彦 絵コンテ:渡辺了 演出:原田孝宏 作画監督:小林恵祐
監督:亀井幹太 アニメーション制作:A-1 Pictures

話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選

年の瀬といえば大掃除、学校・仕事納め、そしてアニメ納め。
というわけで年末恒例、以下の企画に参加させていただます。
2015年も、アニメが面白すぎて困っちゃいました。


「話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

<ルール>
・2015年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・放送日時順。順位は付けない。

★リンク→当該話数の公式サイトあらすじ
■コメントなど


冴えない彼女の育てかた』 #9「八年ぶりの個別ルート」

脚本:丸戸史明 絵コンテ:こでらかつゆき 演出:小川優樹 作画監督:田村里美、長坂慶太

ストーリー | TVアニメ『冴えない彼女の育てかた』公式サイト


<建前>
澤村・スペンサー・英梨々の意地っ張りを溶かすため、バルコニーから校庭に引き下ろして説得する倫也くんがみょ~にプラトニックで微笑ましかった。花火散るロマンチックな画作りに時々必殺の"こでらアングル(斜め構図)"が挟まり、小気味よい演出が活きていました。
<本音>


ガンダム Gのレコンギスタ』 第25話「死線を越えて

脚本:富野由悠季 絵コンテ:宮地昌幸、斧谷 稔 演出:越田知明 作画監督:[キャラ] 菱沼義仁、可児里未 [メカ] 戸部敦夫、高瀬健一

Story|ガンダム Gのレコンギスタ


http://www.g-reco.net/img/story_large25.png
ガンダムのクライマックスって、こうだよなー!」と膝を打った一編。数多くのキャラクターの思惑が錯綜しとても混乱した局面で、大気圏突入に備え皆が息を呑み、敵味方を超えた一体感が生まれる。マッシュナーのように幻影に囚われて消えていく命もあれば、ルインとマニィ、クリムとミックがロマンスを見せたように戦乱の中で咲く命もまたある。モビルスーツ・ダハックが格納されたコアユニットを現す様は“大気圏出産”とでも言え、斬新なシチュエーションを見せてくれた。逼迫していながら、Aパート終わりに力を入れてオシッコを我慢するというクスリとする絵面も入れてくる、その緩急のつけ方が白眉でした。
『Gレコ』は、富野監督の培ってきたドラマツルギーを現在のアニメ技法で魅せる、氏の集大成のような作品に仕上がっていると思います。

(※吉田健一さん達アニメーターが『Gレコ』で試みた新しい描き方については、↓以下の特集に詳細がありますので、アニメの作画について興味があれば一読どうでしょう)
animeanime.jp


『SHIROBAKO』 第24話「遠すぎた納品」

脚本:横手美智子 絵コンテ:水島努、許琮 演出:菅沼芙実彦、許琮 作画監督:大東百合恵、秋山有希、川面恒介、武田牧子、朱絃㳓、徐正德 総作画監督関口可奈味

ストーリー|TVアニメ「SHIROBAKO」公式サイト

水島努監督については、「壁を自在に渡り歩く人だな」という捉え方をしています。リアルに見せるところと、極めてフィクショナルなところのさじ加減が、絶妙というか。
例えば『BLOOD-C』終盤のどんでん返し、『Another』放送当時話題となったアニメオリジナルのダンスシーン、『ガールズ&パンツァー』の戦車道のある世界観……観る人が「これはどういう事だ?」「ありえないよな」と首を傾げてしまうような、違和感のあるシーンを敢えて組み込む。
『SHIROBAKO』24話には、ぬいぐるみのミムジー&ロロと宮森あおいが会話し、ロロがあおいを殴るというシーンがあります。結局あのぬいぐるみがどういう存在だったのか(妖怪?守護霊?みゃーもりのイマジナリーフレンズ?)、それは十人十色の解釈ができるように思います。またこの前の第23話「続・ちゃぶだい返し」で木下誠一が出版社に突撃するシーンの大げさな戦闘も、極めてアニメ的で面白い表現でした。
監督以下全スタッフの想像力と尽力が、作中の武蔵野アニメーションにオーバーラップして、この素晴らしい最終回に繋がったのだと思います。見事な作品でした。


『ミカグラ学園組曲』 第2話「放課後ストライド

脚本:横谷昌宏 絵コンテ:吉川博明 演出:則座誠 作画監督:伊藤大翼、丸山修二 総作画監督:尾尻進矢

TVアニメ「ミカグラ学園組曲」公式サイト

sakuga.yshi.org

謎の小さな祠に触れた一宮エルナは、自分の中に秘められた力に目覚める。エルナはその力を発揮し飛んで走って跳ねて戦うことを、「ワクワクする」と表現した。この回の部活対抗戦シークエンスは前後と作画のスタイルがガラッと変わり、キャラクターやエフェクトの描線が躍動感溢れるものになっていました。(「NARUTO的な」とも喩えられた)荒削りでもあるアニメーションが、エルナの心情ともマッチしていて、印象的な場面でした。アニメートの"質"そのものの変化が演出として機能するという、アニメの原初的な楽しさを再認識させて貰えたエピソードでした。


血界戦線』 第11話「Paint It Black」

脚本:古家和尚 絵コンテ:伊藤智彦、松本理恵 演出:阿部雅司 作画監督:村井孝司、長谷部敦志、森島範子、諸石康太

STORY | TVアニメ『血界戦線』公式サイト


www.youtube.com
泣かせなら第6話「Don't forget to Don't forget me」、パンチ力なら第12話「Hello,world!」、変化球なら第3話「世界と世界のゲーム」、話数ごとに様々な魅力がある本作品。その中でも、自分にとってはこの第11話が、このアニメを受け容れるうえで最も支配的なイメージをもたらしました。ブラック/ホワイト/絶望王の三役を担当した釘宮理恵さんの比重(負担というか……)が極めて大きく、本当に「よく演じたな」と思います。彼女の様々なひきだしを開け放ち、耳と心に残る声を聴かせてくれて、ファンとしてとても嬉しかったです。砲丸のように質量感ある今エピソード、その続きを視聴するのに三ヶ月以上かかったという“事件性”も込みでの選出。


『響け!ユーフォニアム』 第十二回「わたしのユーフォニアム

脚本:花田十輝 絵コンテ・演出:三好一郎 作画監督:丸木宣明

第十二回 わたしのユーフォニアム:STORY | TVアニメ『響け!ユーフォニアム』公式サイト


sakuga.yshi.org
sakuga.yshi.org

青春といえば、くさい、くさい、くさい、そして辛気くさい。よくをかき、そして時に大泣きするから、瑞々しい経験として輝くのでしょうね。
猛暑で大汗をかき鼻血すら垂れながら、執念じみた自主練で追い込みをかける姿をまず捉え、熱量は高坂麗奈からを入れられてもまだ冷めず(ここで多くを語らず、ユーフォとペットのセッションで通じ合うのが抜群にいい)、それでも“失格”を告げられたあとの夜、彼女は「うまくなりたい……」と繰り返し念じながら、駆け出してする。の向こうに浮かぶ月と星のへ悔しさを投げつけた時、彼女は麗奈がかつて流したの意味を知った。
繰り返す「」のモチーフを媒介して、黄前久美子の心のボルテージがを打つ様を描いた、大変瑞々しいエピソードでした。


『城下町のダンデライオン』 第7話「王様は心配性/シークレットアイドル」

脚本:高山カツヒコ 絵コンテ:守田芸成・中村憲由 演出:本間修 作画監督:小田嶋瞳・宮川知子

城下町のダンデライオン 公式ホームページ|TBSテレビ

■『ダンデライオン』は、当たり前のことを当たり前にやろうという意欲が全面に出ていて、非常に好印象なアニメでした。兄弟姉妹と友人たちそれぞれがそれぞれを見守る、心の触れ合いを誠実に映し出しながら、キャラクターを可愛く描くことは外さず、かと思えば茜様がスカートを履き忘れる第4話のようにフェティッシュなコメディへと振り幅をもたす。妙に尖っているところがなくて、木曜深夜26時過ぎの放送にも関わらずホームドラマの暖かさを感じさせてくれた。意欲的なライブ・アニメーションとその後の「キマシ」が映えた第7話を選出はしましたが、ある意味この10選企画向きではない、どの話数も同じように安心して観られる作品ではないでしょうか。でも選んじゃった!
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『監獄学園 -プリズンスクール-』 第10話「素晴らしき尻哉、人生!」

脚本:横手美智子 絵コンテ:二瓶勇一 演出:高島大輔 作画監督:村上雄、坂本哲也、吉田優子、安田祥子、矢向宏志、前田義宏、中西 愛

第10話|TVアニメ『監獄学園 プリズンスクール』公式サイト

CV:神谷浩史がおっぱい派かおしり派かで煩悶するアニメは名作
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(※余談として、選定候補に次の第11話「エリンギ・ブロコビッチ」が最後まで競合していた、と記しておきます……)


『ヴァルキリードライヴ マーメイド』 第5話「ジャイアント・ガール、リトル・ハート」

脚本:雑破業 絵コンテ:朝倉カイト、金子ひらく 演出:川西泰二 作画監督吉田篤史、船道愛子、内原 茂、原山 智

STORY|TVアニメ「ヴァルキリードライヴ マーメイド」公式サイト

■↑のあらすじを読むだけでも常軌を逸していることはわかるのですが、映像の方も次から次へと斬新な(婉曲表現)シチュエーションが連発して、未知の領域をひた走っていますね。30分観るだけで、パンドラの箱を開けてしまったような末恐ろしい気分が味わえます。今年のアイディア賞はこれと『モン娘』第6種「脱皮と産卵する日常」が双璧。で、いいでしょ!(笑……


『落第騎士の英雄譚』 episode 12「無冠の剣王 Ⅱ」

脚本:ヤスカワショウゴ 絵コンテ:澤井幸次 演出:徳本善信、大沼心 作画監督:よち、野田康行、中西和也、明珍宇作、北原大地、山本亮

TVアニメ「落第騎士の英雄譚」|STORY

酒井ミキオさんの主題歌・挿入歌をふんだんに使って盛り上げるハイスピードアクションの爽快さと、花弁舞う“大胆な告白”シーンの多幸感が一気に味わえて、とても豪勢な最終話。ステラの王道な可愛さ(9話のロッジの場面はすごく……夜の一刀修羅です……)と、珠雫の奥ゆかしさ(10話の奮闘が印象深い)も堪らないコントラストでした。タイトル通りの駆け上がるような「英雄譚」を観せてくれました。これがあるから、選定は年末の末まで待つようにしているんです!(本当は、グズでノロマなだけ!)



以上が今年の10選です。
「100の凝らした言葉より、1の煌めくアニメーション」という裏テーマで画像多めにしてみましたが、ちょっとPC負荷が大きめに……ご容赦ください。


「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」を語る会
www.loft-prj.co.jp
↑このような興味深い企画も動いているみたいですね。語る機会を通して、受け手と創り手が相乗作用を起こせるような、そんな良い関係を築いていければ更にアニメが楽しくなると思います。受け手としてはますます“アニ眼”の研鑽が欠かせませんね。

話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選

今年もお疲れ様で御座いました。
さてさて年末恒例、以下の企画に参加させていただます。
2014年も、アニメが面白すぎて困っちゃいました。


「話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

<ルール>
・2014年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・放送日時順。順位は付けない。

★リンク→当該話数の公式サイトあらすじ
■短評


『マケン姫っ!通』 第捌話「学園ハーレム」

脚本:雑破業 絵コンテ・演出:高橋秀弥 作画監督:西谷泰史、藤原奈津子、飯塚正則、竹森由加

各話紹介 | 新アニメ『マケン姫っ!通』公式サイト

■目を覆わんばかりのお下劣ゲーム連発に、しつこい繰り返し、過剰な論理の飛躍、特に必要性のないパロディ(ニコニコ動画発祥の「総統閣下シリーズ」再現にとる尺の長さ!)、着地させる気のないオチ……アノ手コノ手を尽くした笑わせの連打が光るエピソード。往年のアダルト向け深夜番組のテイストが練りこまれ、なかなかに稀有な体験でした。脚本担当の雑破業さんに敬礼。挿入歌として女性声優陣による「金太の大冒険」合唱を配し、BPO放送倫理・番組向上機構)から大目玉を食らう準備は万全だったのに、実際に怒られたのは同期放映の『妹ちょ。』だったという余談付き。

桜Trick』 Trick12-A:「プリンと美月の決意」/Trick12-B:「桜Trick

脚本:谷村大四郎 絵コンテ:小俣真一 演出:久保太郎・わたなべひろし 作画監督:木村友美・石川洋一・亀谷響子・ウクレレ善似郎・浅井昭人・北原広大・森本浩文

あらすじ|TBSテレビ:桜Trick

■園田美月(CV:藤田咲)の奥ゆかしい演技が素晴らしかったです。美月は高山春香も妹の優も「スキ」で堪らないが、それは春香が優に/優が春香に向ける「スキ」とは違っていて、まるで結ばれる先のない赤い糸。だから精一杯のわがままとして、一方通行の「額にキス」をする。「スキの意味」への問いかけを残して、風に運ばれるように去っていく美月。春香と優もなんだか駆り立てられてしまって、桜舞い散る教室で、いっそう激しく「キス」を燃え上がらせる。美月の言う「スキの意味」は、これからふたりで考えていけばいいと、春香と優は決めることができた。幾通りもの「スキ」と「キス」の絡まりが描かれた『桜Trick』として、この上ない最終回でしょう。

『はじめの一歩 Rising 戦後編』 Round 25「誓い」

脚本・絵コンテ・演出:西村聡(演出協力:宍戸淳) 作画監督:菅野利之、阿部恒、佐藤千春、福田ノリユキ、内田裕

ストーリー|はじめの一歩|日本テレビ

■シリーズを追いかけていたわけではなく何となしにチャンネルを合わせただけだったのに、それでも一目で伝わってくる、映像の熱量。もぅひたすらに圧巻でした。鴨川源二が放つ"鉄拳"の重みの説得力が、画と演出の相乗効果で伝わってくる。KO時の攻防は、漫画ライクな描線が原作初読時の興奮を呼び起こして、鳥肌モノ!試合後汽車駅で別れる場面の爽やかさとあいまって、心地よい視聴後感をもたらしてくれます。内海賢二さん、永井一郎さんへ哀悼の意も込めての選出。

『ピンポン THE ANIMATION』 #3「卓球に人生をかけるなんて気味が悪い」

脚本・絵コンテ:湯浅政明 演出:荒川眞嗣 作画監督:伊東伸高、戸田さやか

ストーリー | TVアニメ『ピンポン』公式サイト

■「このキャラのこの台詞がよかった」「この試合のこの場面がよかった」を話していては枚挙に暇がない本シリーズ。本能的なバイオリズムと合致したものから選んでいくなら、ミスター月本と孔文革(コン・ウェンガ)の対決を軸とした今エピソードを。スマイルの鼻歌に乗ったプレイが、チャイナを、そして観客を飲み込んでいく……往年の名作アニメ『劇場版 エースをねらえ!』を彷彿ともさせるカッティングと音響に心身を委ねる快感ったらない。ED前にぽつんとフィーチャーされる江上も、いい脇役をこなしている。『ピンポン』を観たくなった時はついつい手を伸ばしてしまう話数です。

『彼女がフラグをおられたら』 第5話「信じて待っていてくれ。みんなとのデートに遅刻なんてするものか」

脚本:あおしまたかし 絵コンテ・演出:上田繁 作画監督:佐々木美和

「彼女がフラグをおられたら」TVアニメ公式サイト

がを、がを~!
CV:花澤香菜とデカ盛りパフェをシェア!CV:茅野愛衣と手こぎボートで共同作業!CV:日笠陽子と煙突の頂上で立ちション!CV:阿澄佳奈から膝枕!こんな錯覚、幻想を抱かせてくれるのが、アニメの懐深きところでもあり、罪深きところでもあります。
がを、がを~!
それはともかく、二周目以降の視聴では、この微笑ましい光景もかけがえのないものだったと再認させてくれるのですよね。『がをられ』の女子はみんな、ひたむきで可愛らしい。そんな彼女らによる好意のフルコースで満腹になれる、第5話をチョイスしました。
がを、がを~!


シドニアの騎士』 #05「漂流」

脚本:村越繁 ストーリーボード:安藤裕章

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■TVアニメ史に残る"飲尿回"。水がなければ人間は生きられない。

ヤマノススメ セカンドシーズン』 新十合目「富士山って、甘くない…」

脚本:ふでやすかずゆき 絵コンテ:山本裕介 演出:江島泰男 作画監督:山中正博(総作画監督松尾祐輔

TVアニメ『ヤマノススメ セカンドシーズン』

『ヤマノススメ』の勧め ~富士山に登ってわかってきた『ヤマノススメ セカンドシーズン』の魅力~ - “破滅”と“再生”の美学(真弓の雑記・はてな出張所)
あまりにも個人的な理由で申し訳ないのですけれど、本作でちょうど富士登山挑戦のストーリーが展開されていた頃、私自身も富士登山に行っていました。すなわち、俺が雪村あおいだ(これは錯覚?)。ヤマは厳しく、だからこそ皆が憧れるほど雄大でもある。ちょっぴり『ヤマノススメ』らしくないシビアさが、また堪らないんです。

『グラスリップ』 第12話「花火(再び)」

脚本:西村ジュンジ 絵コンテ:西村純二 演出:安斎剛文 作画監督:竹下美紀/深川可純/朱絃㳓/川面恒介/大東百合恵/秋山有希

ストーリー | TVアニメ「グラスリップ」公式サイト

■「視えているものが違うというのは、こんなに悲しいことなのだな……」と認識させられる強烈な一編。ラスト、透子の台詞「何でも。何でも、ないの……」から、遠くからする花火の残響がフェードアウトして、あの海辺の町の遠景で終わる。ピアノの繊細な音色をバックにして、何処かに誰かに置き去りにされたような寂しさ、空虚さが迫ってきて、言葉を失ってしまう。そしてしばらくして、このアニメが世間様からは「意味不明」「迷作」などと位置づけられてるのだ、とまた思い出して、しばし孤独を味わう(この事は書かなくてよかったかもしれない)

『SHIROBAKO』 #2「あるぴんはいます!」

脚本:横手美智子 絵コンテ:平井義通 演出:菅沼芙実彦 作画監督:大東百合恵、秋山有希

あらすじ★ストーリー|TVアニメ「SHIROBAKO」公式サイト

■ロボットアニメ『イデポン』を愛する心が和解を生む6話、アニメーター安原絵麻の悲喜交交が染みる8話、12月25日放送で最高のクリスマスプレゼントだった12話、等々どこから切り取っても美味しいアニメ『SHIROBAKO』。そんな中でも、2話には心をガツッと掴まれました。設定話に花が咲いて、あれよあれよと脇道に逸れていく会議。それでもやがて、あるぴん達の"像"が皆の視線の中心に現れてきて、共有される。「あるぴんはもうここにいるんだよ!」という木下監督の叫びには、アニメ屋としての実感がこもっていて素敵だった。そして、たこ焼きを食べてまた明日も頑張る。夢と活力を与えてくれる、お気に入りの回です。

ガンダム Gのレコンギスタ』 第6話「強敵、デレンセン!」

脚本:富野由悠季 絵コンテ:京田知己斧谷稔 演出:亀井治 作画監督:杉本幸子(キャラ)、中谷誠一(メカ)、仲盛文(戦艦)

■「元気のG」というキーワードを、額面通りに受け取ってはいけません。ベルリと恩師デレンセンの悲しい衝突を通して、戦場の現実をまざまざ見せつけてきます。時間差で襲ってくる殺しの感触に震えるベルリ。突き放した描写がドライな印象を刻みこんできます。それはまるで『機動戦士Vガンダム』から感じたことのあるような……。『Gレコ』を観るということは、富野監督と映像を通して殴りあうことなのかもしれません。殴りあい宇宙。振り落とされず、後半クールでも行末を見届けましょう。


□諸々の事情から選外となった各話は、以下の通りです。

・『悪魔のリドル』 第十問「女王はだれ?」

・『月刊少女野崎くん』 創刊号「その恋は、少女漫画化されてゆく。」

・『暴れん坊力士!!松太郎』 第19話「大暴れ、結婚式」

・『スペース☆ダンディ』 第23話「恋人たちはトレンディじゃんよ」

・『異能バトルは日常系のなかで』 第2話「『誤想』ミスコンセプション」

・『寄生獣 セイの格率』 stage:7「暗夜行路」



以上、2014年TVアニメ10選でした。
急ぎ足にはなりつつも年度内にアップ出来てホッとしています。選考で煮詰まった時ほど、スッと頭に浮かんでくる場面から「アレは第何話だったか?」と導き出してみる。その結果、わりと順当な10選に落ち着いたような気がしました。来年はもっともっと、"アニ眼"を研鑽していきたいですね。

それでは皆様、良いアニメを。というか、良いお年を。

カット単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選(を、やってみた)

アニメ好きの好事家たちによって、
・「その年に放映されたTVアニメから任意のエピソードを一話単位で選んで、魅力や思い入れを語る」
という企画が毎年末に行われていることは、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

↓は企画参加サイト一覧や集計等を行ってくれているサイト様です。

話数単位で選ぶ、TVアニメ10選等: 新米小僧の見習日記

これがやってみるとなかなかどうして奥深い企画で、私も当ブログを利用して、2012、2013年と参加させていただきました。今年も残り少ないですが、空き時間に選定作業を行っています。但し、年内にまとめきれるかは不透明……

ところで。12月の頭ごろに、上記の企画について気になる発言を見かけました。

「その年のベスト10話は選定されているが、もっと細かく、シーン単位やカット単位、止め絵単位で10個選ぶのも面白いかもしれない」

一読して「確かに、エピソードだけに限らず、色々なテーマから選出されるのも面白いな」と興味が湧き、またその後某氏の後押しもあって、Twitterアカウントを利用して試しに選んでみました。

カット単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選

・2014年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき原則1カット。
・順位は付けない。

□『悪魔のリドル

□『ガンダム Gのレコンギスタ』

□『スペース☆ダンディ』

□『ヤマノススメ セカンドシーズン』

□『ピンポン THE ANIMATION』

□『グラスリップ』

□『魔法戦争』

□『SHIROBAKO』

□『月刊少女野崎くん

□『桜Trick

(選外『異能バトルは日常系のなかで』)

選んでみた結果

まず、レギュレーションに軽く違反してますね(笑)『ピンポン THE ANIMATION』の選出カットは、次のカットに移行してサブタイトルが現れる瞬間のキレの良さが気に入ったのですが、これでは2カットになってしまう。同じ選出箇所でも例えば「シーン単位で10選」ならば違反はありません。(その場合はまた「"シーン"とはどこからどこまでを意味するのか?」などという定義の問題が発生し、ややこしくなりそうです)

また、一つのカットにも静止画だったり大きく動いての芝居だったり、また前のカットからのアクション繋がりや、BG(背景美術)オンリー、字幕のあるなし、諸々の差異があって、上記の10選でも混在しています。例えば「アクションシーン限定で10選」など行ってみれば、一貫性が保てそうですね。

そしてこの企画、画像/動画の準備がちょっと面倒というのもあります。
「話数単位ベスト」の企画は、語り方次第ではテキストだけで該当エピソードの魅力を十分に伝えられるように思います。キャプチャ画像で重要なシーンを提示することにより、尚更イメージの伝達が捗るのはもちろんですが、必要不可欠ではないかもしれません。
「カット単位ベスト」の場合は、具体的にここはこういうカットなんだよ、と画像/動画で例示してあげながら語るのがベストという感じがします。一話24分ではなく一カット3秒ならデータ容量が圧倒的に小さいという、デジタル的な理由もありますが、何より「画面に映ってる情報を文字に起こすのが面倒くさいし、まわりくどい!」のもまた一理です。
(※キャプチャ画像の無断利用の問題は煩雑なので、この際では置いときましょう)

……それから、好きなシーンばかりを選んでいると「油断すると、自分のフェティシズム公開処刑みたいになっちゃうよな」という危惧もあります。このところ美少女の多いご時世ですしね。まぁ、敢えて意図的に"そういう"シーンばかり選ぶのも、面白いですけどね。

最後に

よもやま話から始まった選定でしたが、「俺の好きなカットはどれだ?」と探す目的をもってアニメを観直している時間は、結構楽しかったですね。無茶ぶりをしていただいた某氏と、ここまでお読みいただいた貴方様に感謝いたします。以上、レポッスよ。

『ヤマノススメ』の勧め ~富士山に登ってわかってきた『ヤマノススメ セカンドシーズン』の魅力~

現在放送中のTVアニメ『ヤマノススメ セカンドシーズン』、非常に楽しんで視聴しています。第一シーズンから時間も拡大され(5分アニメ→15分アニメに変更)、より一層味わい深いアニメになっていると感じました。

つい先日富士山へ登りに出かけてきたのですが、偶々それと同時期に、『ヤマノススメ』劇中であおい達四人が富士登山に挑戦するストーリーが展開されていました。「ああ、この時はこうだよなー」「山頂付近は苦しいけど楽しかったなー」などという共感も含みながら観られているので、幸福感がとても高いです。
満たされすぎちゃって、ありがてぇ、ありがてぇ、なんてテレビの前で呟いたりなんかもしてます。傍から見たらその光景は中々に気持ち悪いかもしれませんね。


富士登山といえば、皆様はどんなイメージをお持ちでしょうか。
標高3000メートル超の無骨な山肌を、酸素も薄くなっていく中で黙々と何時間も登るというその行程は、人によっては何ら魅力を感じられないかもしれません。高地特有の高山病に襲われ、頭痛に耐え切れなくなってリタイアする人もいます。長時間の歩行で疲労困憊し、挙句は転倒・スリップで怪我をしているような人もいて、その様子を横目にすると「そういえば、何でこんなことをしてるんだろう」と我に帰ったりします。

かくいう私自身も登山経験はほとんど無くて、去年と今年の夏に富士山へ登って、それ以外はごくたまにちょっとしたハイキングをたしなむ程度です。だから"登山の極意""山の怖さや偉大さ"みたいなものは全然わかっていないし、まだまだその境地に達することのできない初心者でしかありません。
それでも、年一回の本格登山となると心が躍るし、装備品の準備やトレーニングについ没頭してしまいます。そして実際に挑戦してみれば、そこでしか味わえない達成感と雄大な景色に夢中になります。

そんなビギナーの自分が何故"山を登る"という行為に心惹かれるのか。
興味の源泉は心の中のどういうところから湧いてくるのか。
ヤマノススメ セカンドシーズン』を観て、ちょっとその片鱗に触れたような気がしました。



第三話~第四話であおい達は山梨県にある「三つ峠」へ挑戦していました。
都心から2時間 三ツ峠登山ガイド | 河口湖天上山公園 カチカチ山ロープウェイ | 富士山・河口湖観光 絶景スポット
中腹や山頂からは富士山を含んだ絶景が伺える魅力的な山で、ひなたはその景色をあおいに見せたいが為に、かえでやここなも誘い連れ立って登りに行きました。
経験の浅いあおいは険しい斜面や崖道に苦しめられますが、三人のサポートもあって、なんとか登頂に成功します。
そうして下山していく時、あおいは苦しみながらも踏み越えてきた道を降りながら、独白します。

「楽しいひとときが終わる。はじまりがあれば、おわりがある。登ったら、降りなきゃいけない。それはちょっと寂しいことだけど、でも……もっとこんな気持ちになってみたいな」
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「ここ、来るときこわかった道……。一度通ったからかな、もうなんともない。あんなにこわかったのになんでだろう?なんかうれしいな」
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この一連の独白(モノローグ)は印象に残りました。"山を登る"ことの楽しさを、あおいなりのシンプルな表現で、わかり易く表してくれている台詞ではないでしょうか。

あおいにとってみれば「三つ峠」は今までで最も厳しい道の続く山であり、登りの途中ではついつい弱音を吐いてしまいました。「なんか楽しくないな……」という実感は身体の疲れ、痛みからくるもので、激しい運動に慣れていないあおいにとってみればなかなか耐え難いもの。こんなに苦しくて辛いならやめて早くおうちでのんきに過ごしたいという発想は、「三つ峠」を楽勝だと甘くみてしまったあおいにとってみれば、必然に出てくるものだったかもしれません。

そういえば私自身も、今回の富士山では悪天候に苦しめられました。道中では日没後に風と雨が横殴りに吹いてきて(「雨が降る」ではなく「雨が向かってくる」という感覚)、それは明らかに登山者の体力と気力を根こそぎ奪っていくものに見え、恐怖を感じました。太陽のない夜間では視界も遮られ、数歩先の様子すらよくわからなくなる。標高3300メートル付近、本八合目の山小屋から出発することも出来ず足止めを食らってしまい、頭痛も酷くなる中、その時は「もう早く下山して楽になりたい」という弱気が襲ってきました。

状況はそれぞれ違いますが、あおいが道中味わったあの苦痛は、自分にとってもよく理解できるものでした。
そして、この苦しさを越えていくこと、この苦しさを経なければ味わえない達成感と景色こそが、登山の大きな醍醐味であると考えられます。
前述のあおいの台詞はそれを示す一例になっていると思いました。

そんな尊い経験のきっかけをあおいに与えてくれたのが、あの時教室であおいに声をかけて登山に誘ってくれたひなたであり、一緒に歩いてくれる仲間となったかえでやここなでもある。「三つ峠」であおいは彼女たちの暖かいアドバイスを参考にすることで、諦めることなく登頂できました。
ひとりではできないけど、仲間とならできるかもしれない。あおいにとって三人はそんな勇気を与えてくれる存在なのでしょうね。OPアニメーションで繰り返し描かれる、四人が並んで歩く様子。いちばん初心者のあおいが先頭に立って歩き、その後ろからひなた、ここな、かえでがついてくるという順序は、「あおいの背中はわたしたちがしっかり見守ってるよ、だから一緒に歩いていこうね」という優しいメッセージを含んでいるのかもしれません。

些細であるかもしれない成長や変化を丁寧に描き、また仲間がいることの心強さとありがたさをもしっかり示す。
ヤマノススメ』は多くの魅力にあふれたアニメーションであると、また再認識することができました。
そういう意味でも、富士山に登った甲斐があったものだな、と感得している次第です。
誘いに乗って同行してくれた、N君、M君、どうもありがとう。読んでないだろうけど、この場を借りて礼を申し上げます。


追記:「あれ、富士山の話題から始まってるのに、三つ峠のエピソードしか出てこないぞ?」と気づいた方はご明察。実はまだ『セカンドシーズン』の富士山エピソードまで観てないんです。本当は富士山行く前に放送回に追いつきたかったんですけどね……(苦笑)これからゆっくり『セカンドシーズン』を観て、振り返りつつ追体験したいと思います。『ヤマノススメ』ファンの皆様、最終回までエンジョイしていきましょうね。

【ネタバレ含】映画でもやっぱり春香はメインヒロイン! ~劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』雑感~

今回の劇場版、総じて素晴らしい内容であったけれど、特に感銘を受けたのが中盤のワンシーン。アリーナライブに向けたレッスンが、バックダンサー達(ミリオンライブ勢)の不和によりなかなか立ちゆかず、リーダーを任されていた天海春香が思い悩んでいたところで、偶然出くわした星井美希と話す場面。そこで美希が口にした

「美希は春香じゃないからわかんないの」

から始まる一連の台詞がものすごく良かった。とても美希らしい言葉遣いだなと思った。

この映画では、美希が春香を見つめている顔を捉えたショットが随所に挟まれるが、その視線が強調されるのは恐らく、春香が美希に足りない何かを持っている、そのことの重要さに美希が気づいていて、だから春香の選択に対してこんなにも注目しているのだと示したいからだろう。

普段はのぼーっとしているが、いざという時の行動と言動に迷いも遠慮もなく、他人を観察する眼に優れている。そんな天才肌の美希があれだけ春香を見つめているのは期待の大きさの現出であり、リーダーとしての春香がどういう選択をしていくか、それを見つめていくことの意義が高いのだと如実に示している。厳しい芸能界に身をやつしながらも「いっしょにいる」ことの大切さを教えてくれた相手に対してだからこそできる信頼。「こうすればいいんじゃない?」ではなく「あなたの思うようにやればいい」と告げるのは、心の底から信頼している相手でなければできないものだ。ファンにとっても、自分にとっても、765プロにとっても大切なアリーナでの大規模ライブに関わるような決定事項であるなら、なおさら当事者は神経質になるはず。でも、春香にだったら、その選択をぽんっと任せられる。美希にとって春香はそういう人物なんだろう、と感じさせるような見つめ方だった。

それは美希だけでなく例えば(映画において選択を促す場面のあった)千早にとってもそうなんだろう。ボーカルの技量では春香を遥かに上回る千早にとっても、選択を委ねるに値する大切な何かを春香が持っているのだと見ているような印象を受ける。それはもしかしたら、アイドルとして最も大事な何らかの資質なのかもしれない。

春香はそんな期待の視線を受けながら、感謝と責任を忘れることなく、あのいつものような輝かしい笑顔で明日も応えてくれる。そう信じられる存在だ。

天海春香というキャラクターがあのアイドル達の中心(敷衍して『im@s』というコンテンツの中心)に位置しているということの意義について、もっともっと追求していかなくちゃならないな、と思った。

同時に、音無小鳥さんがアリーナの席でサイリウムバルログ持ちしていた意義についても……。


我々プロデューサー達が観たいと思っていたものを丁寧に汲み取っていただき、そのままシンプルに、力強く示して、貫禄を持った映画として仕立てあげていただいたことに、改めて感謝したい想いでいっぱいです。全スタッフ&キャストの皆様、ありがとうございました。